防衛機制
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防衛機制 (ぼうえいきせい) とは心理学・精神分析学などで用いられる用語であり、欲求不満などによって適応が出来ない状態に陥った時に、不安が動機となって行われる再適応のメカニズムを指す。 元々はジークムント・フロイトの娘、アンナ・フロイトが幼児心理学の研究の中で言い出したものである。彼女は、1939年からロンドンのハムステッドで戦争孤児院を開き、オランダ経由でロンドンに亡命してきた戦争孤児たちの心の治療に当たった。『自我と防衛機制』『ハムステッドにおける研究』(いずれも邦訳は、岩崎学術出版社)などを参照。
又、防衛機制は適応機制、不適応機制に対して使われる言い方である。機制は、mechanismの訳である。
防衛機制には様々な形態があり、それらは以下のように区別されるが、厳密な区別は人によって多少異なる。
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[編集] 防衛機制の例
[編集] 注意を集める
他人の注意を自分に向けさせることで自己満足して心の安定を保つ。 ためいきをすることでストレス解消になることも
[編集] 抑圧
苦痛な感情や記憶などを意識から追い出し、無意識へと閉め出す事。 受け止めきれなくなり、その出来事自体を忘れ、何も感じなくなってしまう。
[編集] 合理化
満たされなかった欲求に対して、適当な理由を付けて正当化しようとする事。
キツネがぶどうを取ろうとしたが、手が届かずに取ることが出来なかった。その時、「あのぶどうは酸っぱいのさ」とするのがすっぱいブドウ、欲しくは無かったが自分の物となったレモンを甘いと言い張るのが甘いレモンである。
[編集] 昇華
非社会的な欲求を、社会に受け入れられる価値ある行動へと転じる事。
[編集] 同一視
自分にとって重要な他者と自己とを同じものと見なす事。
たとえば小さい頃にピアノをやりたかったなぁと思っている親が、 子供にピアノを習わせる等。
[編集] 投影(投射)
多くは望ましくない自分の感情や考えを他人のものであるとする事。
[編集] 反動形成
ある抑圧を行った時に、それと正反対の行動を取ること。好きな異性に対して、意地悪をするなど。
[編集] 引きこもり、逃避
適応が出来ない時にその状況から逃れる事。
又、例えば戦時中軍隊に召集されると病気になり、召集が解除されると治ってしまう、というのが病気への逃避である。
[編集] 疾病逃避
病気を理由に困難から逃れること。
仮病ではない。why→本人は仮病と思っていないから。
[編集] 現実への逃避
直面する課題とは別のことをする。
現実逃避ともいう。
[編集] 退行
以前の発達段階へと戻る事。弟や妹が産まれると、子供は母親にもっと構ってもらうために、年に似合わず赤ん坊のように振る舞う事がある。これは退行の一つである。
[編集] 補償(代償)
ある事柄に対し劣等感を持っている際、他の事柄で優位に立ってその劣等感を補おうとする事。勉強が苦手な子供が、体育の授業で頑張るなど。
[編集] 置き換え
自分の感情が本来のものに対して持っているものとは逆のものに置き換えてストレスを解消する。