長坂光堅
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長坂 光堅（ながさか こうけん、1513年（永正10年） － 1582年4月3日（天正10年3月11日））は、戦国時代の武将。武田氏の家臣。長坂虎房。筑後守。
出家後の長坂長閑斎(釣閑斎)の名で有名である。嫡男は奥近習六人衆に数えられる昌国(源五郎)、次男は今福昌常(今福浄閑斎養子)である。武田晴信の乳兄弟とも。
武田信玄の代から有力部将として仕えたが、甲陽軍鑑中では、信玄曰く「口だけしか動かない男」としてあまり重用せず、むしろ嫌っていたとある。しかし、実際は諏訪郡代を勤めるなど重用されていたようである。また信玄の後を襲った武田勝頼にも引き続き重用された。
『甲陽軍鑑』では天正3年（1575年）の長篠の戦いにおいても、信玄以来の家臣である山県昌景、内藤昌豊、馬場信春ら宿老たちが敵の陣城・予想外の大兵力を理由に撤退を進言したものを、光堅は攻撃するように進言して武田軍惨敗の原因を作ったという記述がある。しかし、長篠滞陣中の勝頼から駿河まで来ていた長坂宛の書状が現存し、長坂は長篠には参陣していないことが明らかになっていることから、この記述は『甲陽軍鑑』の虚でしかない。
また『甲陽軍鑑』では天正6年（1578年）の上杉謙信死後、勝頼が御館の乱において上杉景勝と同盟を結んで資金援助（この頃､武田氏は度重なる東海道方面への出兵による軍費の増大により経済的に逼迫していた）を受けたが、光堅はその金を一部横領していたという記述がある。高坂昌信は勝頼に光堅を追放するように提言したが、光堅の甘言にまどわされていた勝頼は受け入れなかったという話であるが、これも全くの誤りである。上杉氏との交渉は、北信・東信の責任者であった小諸城将・武田信豊が行っている。
『甲陽軍鑑』では、1582年、信長による武田攻め（天目山の戦い）が始まると、光堅は勝頼の軍から密かに離れて甲斐国に逃亡したが、織田軍の厳しい追討を受けて捕らえられ、首を切られて殺されてしまったとしているが、近年の研究では最後まで勝頼に従い殉死したとする説が有力である。
上記の如く、甲陽軍鑑は跡部勝資と共に長坂を著しく貶める記述が多々あり、その多くが史実と食い違う。
俗説では､跡部勝資と並んで勝頼をたぶらかし武田氏を滅亡に追い込んだ奸臣として悪名高い人物である。そのため光堅は信玄の娘婿・穴山信君や木曽義昌、重臣・小山田信茂とともに山梨県では評判がすこぶる悪い。ただし、長坂氏は、武田義信の失脚時に、一族から連座して自害者（嫡男・源五郎）を出している。このため甲斐の国人衆として多少勢力を弱めた感があり、自家の今後の存続を見通して勝頼に近づいた、という見方もないわけではなく、近年では甲陽軍鑑やそれに派生する俗説から一度離れた史学的視点から再評価されつつある。
