長井市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
長井市(ながいし)は、山形県の南部に位置する市である。春から夏にかけて市の名物であるサクラ、ツツジ、アヤメが見頃となる。キャッチコピーは「水と緑と花の長井」。
目次 |
[編集] 地理
市の北西端は大朝日岳があり、市域の西半分ほどを朝日山地が占める。市の東部にある盆地は長井盆地とよばれ、長井市の市街地がある。市の東から流れる最上川に、飯豊山地から北上する白川と、朝日山地から東進する野川が合流し、水量を増して市街地付近を北に流れる。 気候は盆地のため寒暖差が激しく、降雪量が多い。
[編集] 隣接している自治体
[編集] 歴史
- 1954年(昭和29年)11月15日 - 長井町、長井村、西根村、平野村、伊佐沢村、豊田村が合併し、長井市誕生。
[編集] 行政
- 市長:目黒栄樹
[編集] 産業
[編集] 歴史的経緯
長井は、最上川舟運の港町として栄えた商工業都市であり、その点で周辺部とは異なる点である。つまり、江戸時代までは日本の基幹交通は日本海経由の舟運であり、日本海に面した一大海運港であった酒田から、最上川を経由して米沢に至る舟運ルートの終着港が長井であった。すなわち、米沢藩の交易港都市であった。現在でも続く製造業としては、長井紬が有名である。
その名残は現在の長井の産業にも影響しており、農業や農産物加工などのほかに、商業、工業が発展してきた地域である。
[編集] 産業人口
- 1次産業 9.4%
- 2次産業 44.6%
- 3次産業 45.9%
[編集] 製造業
工業に関しては、第二次世界大戦前に当時としては珍しく自治体挙げて、東京芝浦電気(東芝)の誘致に成功し、その後、東芝の企業城下町として、電気機器関連産業が発展してきた。
その後、1980年代以降の円高と大企業の海外シフトに伴い、東芝の分社化、関連企業の撤退、倒産など長井市の製造業を取り巻く環境は厳しさを増した。こうした中で、長井工業高校と長井市商工観光課、地元製造中小企業、長井商工会議所が連携し、人事育成と地元での雇用創出の取り組みが行われ、全国的にも注目された。
[編集] ロボット産業
現在では、製造中小企業の若手経営者が連携し、従来からの製造品目である工場自動化機器類の今後の方策を調査、研究する試みと、地域経済の活性化を目指して、ロボット産業について取り組んでおり、2006年度ロボワン全国大会の招致に成功した。なお日程は9/16(土)が予選、9/17(日)本戦、推定参加ロボット140体、推定参加人数300名程度である。
[編集] 共同薬品工業
市内に工場を持つ協同薬品工業は、農協系の置き薬メーカーである。一般の薬店での市販はされていないが、農村部での知名度は高い。
[編集] 商業
長井市は、現在でも置賜地域の商業集積地であり、流入客数が多い。ただ、近年、郊外型大型店舗の出店が、市内郊外部に進み、中心部の空洞化が懸念されている。また、道路網の整備、自家用車保有の進展により、近隣の南陽市や山形市、あるいは仙台市への買い物客の流出も指摘されている。
[編集] 市内の主要商店街
- あら町商店街(あらまち)
- 最上川舟運とかつての主要産業ある長井紬で栄えた名残をもっとも色濃く残す地域。寛政元年創業(1789)の醤油、味噌の醸造蔵・山一醤油の店舗は築100年以上経過した立派なもの。マスコミにも多く登場し、現在でも味噌、醤油を中心に製造販売を行っている。また、この地域には、江戸期、明治期、大正期、昭和初期の近代建築が数多く残っている。
- 大町商店街(おおまち)
- 市役所や病院、医院が数多く並ぶ。南北に続く市街地の北端に当たる。「文教の杜」となずけられたエリアは、かつての商家「丸大扇屋」の建物を中心とした資料館と公園となっている。また、この地域のシンボルとしては、「小桜館」(旧置賜郡役所)があり、貴重な近代建築物として見学できるだけではなく、様々な催し物に活用されている。商店街にある「ぬくもりの壁あやっか」は、空き店舗活用の一つとして、山形工科短期大学校の学生であった石川文香が自身の卒業研究として土壁のある和風の交流空間として改築、まちづくりNPOセンターの活動拠点として、ギャラリーや観光案内所として活用されている。
- 高野町商店街
- あやめ公園から長井駅に通ずる通りに位置している。「おしっさま」(黒獅子祭り)で有名な総宮神社や、あやめ公園などに通ずるところに位置している。
- 中央通商店街
- 長井駅前の通り。従来、鉄道の駅と、国道、最上川を結ぶ玄関口として最も重要な位置にある。駅前には、長井産のレインボー野菜などを販売し、情報発信の拠点となっている「長井村塾」があり、視察などの拠点となっている。長井駅舎は、近代建築物であり、その景色は昭和初期から30年代を彷彿とさせる光景となっている。また、木村家は大正年間創業の老舗パン店である。ロールパンは昭和20年代から続く名物である。
- 本町商店街(もとまち)
- 大型店である ヨークベニマルが位置し、長井市の商店街の中でも、中心的存在となっている。商店街には、1930年(昭和5年)築の桑島記念館が移築されて公開されているほか、1930年(昭和6年)築で大きな尖塔を持つ旧小池医院(内部は非公開)など、街のシンボル的建築物が軒を連ねている。
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 国内
[編集] 海外
[編集] 地域
[編集] 健康
長井市は、この地域の政治や経済の中心であったため、以前から病院や医院も数多く存在してきた。現在も、個人医院や診療所などが市内に数多く開業している。 周辺自治体(長井市、南陽市、川西町、飯豊町)と共同で平成12年11月に公立置賜総合病院及び救命救急センタ-が隣接する川西町に設置されている。そのため、従来の長井市立病院は、公立置賜長井病院と名称変更され、サテライト医療施設として統合再編された。
[編集] 教育
- 大学校
- 山形工科短期大学校
- 高等学校
- 職業訓練校
- 職業訓練法人山形工科アカデミー
- 長井高等職業訓練校
- 中学校
- 長井市立長井北中学校
- 長井市立長井南中学校
- 小学校
- 長井市立長井小学校
- 長井市立西根小学校
- 長井市立平野小学校
- 長井市立伊佐沢小学校
- 長井市立豊田小学校
- 長井市立致芳小学校
[編集] 交通
[編集] 鉄道路線
長井市は山形鉄道(第三セクター)の本社所在地で、市内に山形鉄道フラワー長井線の駅が多数ある。中心となる長井駅までは、山形新幹線赤湯駅から約30分である。
鉄道作家・宮脇俊三氏の作品『「時刻表昭和史」第13章 ― 米坂線109列車』は、今泉駅で終戦の玉音放送を聞いた体験が描かれている。また、映画「スウィングガールズ」では、山形鉄道そのものがストーリーの中で重要な役割をしている。また、2006年8月には、大学生がデザインした萌えキャラクターを使用したグッズが販売されて、話題となった。
- 山形鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 米坂線:今泉駅
- 中心となる駅:長井駅
- 隣接市町村への連絡:フラワー長井線
- 都道府県庁への連絡:フラワー長井線経由赤湯駅乗換え奥羽本線・山形新幹線
- 広範囲な連絡:フラワー長井線経由奥羽本線、米坂線
[編集] バス路線
山形市方面からは山形交通バスの都市間バスが走っている。また、長井市営バスが市内を循環しているほか、飯豊町営バスが長井市内まで乗り入れている。
[編集] タクシー
長井市は、置賜地域の中心市として栄えてきたこともあり、市内には、三社のタクシー会社があり、公共交通の一端を担っている。また、地域随一の飲食店街としても有名であり、そのため代行運転サービスなども充実している。
[編集] 道路
[編集] 空港
- 市域内に空港はない。最寄りの空港は東根市にある山形空港である。しかしながら、山形新幹線開通以降、山形空港からの便数が減少した影響もあり、実際には国内各都市へは新幹線もしくは仙台空港から空路を利用する人が多い。
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
長井市では、長井市観光協会、長井商工会議所などに加え、各種NPOや市民団体、グループなどが催し物や祭りの企画、運営、主催などに参加しており、市民参加型のものが多い。
- あやめまつり
- あやめ公園
- 松ヶ池公園(白つつじ公園)
- 萩園
- 久保の桜
- 黒獅子祭り
- 雪灯り回廊
- ランタンフェスティバル
- 長者屋敷遺跡(縄文村)
- 丸大扇屋(江戸期・公開)
- 小桜館(旧西置賜郡役所・明治11年築・公開・長井市指定文化財)
- 桑島記念館(旧桑島眼科・昭和5年築・公開・長井市指定文化財)
- 旧小池医院(昭和6年築・個人宅・非公開)
- 山形鉄道長井駅(旧国鉄長井駅・大正3年築・公開)
- 旧羽前銀行長井支店(昭和9年築・個人宅・非公開)
- 長井小学校校舎(昭和8年築・非公開)
- グンゼ長井工場(大正9年築・非公開・一部は現在、協同薬品工業)
- その他、市街地には珍しく茅葺屋根の民家および商家が複数残されている。
また、江戸期に建築された蔵も相当数残されている。
- 長沼孝三彫塑館
- 長井ダム・野川まなび館
- 最上川フットパス
- 観光物産館(置賜地域地場産業振興センター・タス・パーク・ホテル内)
現地での観光情報に関しては、長井駅に設けられた案内所か、タス・パーク・ホテル の2階にある地場産業振興センターが詳しい。特にタス・パーク・ホテルの観光物産館は、長井市の資料だけではなく、置賜地域全体の情報を入手できる。
[編集] 出身有名人
- 長沼孝三 (彫刻家)
- 菅原白龍 (画家)
- 孫田秀春 (法学者)
[編集] その他
- 映画『スウィングガールズ』(監督矢口史靖、2004年)
- 長井市を含む置賜地方で撮影された。フラワー長井線の列車が登場する。映画の撮影は、米沢市などでも行われたが、長井市およびその周辺で撮影された部分が多く、スタッフは収録中、長井市のタス・パーク・ホテルに滞在した。ロケ地情報などは、タス・パーク・ホテルなどで入手できる。
- レインボープラン
- 長井市では、生ゴミを堆肥化し農地に還元することで、循環形社会の形成を目指すレインボープランを行っている。また、これに関連して、食品消費者と農業者の距離を縮める「食の安全安心=レインボープラン特区(構造改革特区)」が認定された。
- 不伐の森
- 長井市東部にある一定の範囲の森(市有地)を「不伐の森」と指定することで、森林の保存を目指している。(長井市不伐の森条例)
- フラワー戦隊ナガレンジャーhttp://blog.livedoor.jp/fsn0601/
- 山形県長井市の西置賜工業会次世代グループが、ロボワン出場を目指してロボットを作成。5体のロボットによって、フラワー戦隊ナガレンジャーを結成した。工業関係者にとどまらず商業・教育関係者もまきこんで、産業振興、観光振興のシンボルとして活動。ちなみにフラワー戦隊とは、”花の名所長井市”にちなんで名づけられた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
このページはウィキプロジェクト 日本の市町村のテンプレートを使用しています。