融雪
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融雪(ゆうせつ)は、雪を解かすこと。雪は水が固体となった状態であり、融点を超える温度にすると雪は溶け水となる。
雪は人間の生活活動に対し、様々な障害を生む。それは建築物に対する負荷であったり、交通を妨げる障害物であったり様々であるが、これらの障害となる時を除去する動作として融雪が行われる。除雪もほぼ同じ意図を持って行われるが、除雪は雪を個体のまま移動させるのに対し、融雪は雪を解かして水にして雨と同等の処理を行えるようにすることを指し、状況や目的によって使い分けられる。
融雪の基本は雪の温度を融点以上にするということであり、これには何らかの動作を伴う必要がある。その動作は、雪の持つ融点にまで雪に熱を与える動作と、雪の融点を低下させる動作の二つに大きく分けられる。
雪の持つ融点にまで加熱する方法としては、地下水や水道水を消雪パイプやホースを通じて放出する方法が最も多く用いられる。これは廉価であり、比較的容易に行える。地下水は水の融点よりも高い温度で地下に存在するため融雪には適しているが、大量に使用し過ぎると地盤沈下の原因にもなるため、慎重に運用する必要がある。他には、電気やガスを利用して水などの液体を加熱し、循環器によって配管内を循環させて融雪することもあるほか、電熱線を使用して雪を過熱することもある。これらは家庭用の融雪設備として用いられたり、ロードヒーティングとしても用いられれる機構である。家庭用の融雪としては生活熱を利用したものが古くから用いられている。
雪の融点そのものを低下させる方法としては、融雪剤の散布によって行われる。融雪剤には塩化カルシウムを主成分して含まれており、これを散布することによって凝固点降下が起こって融点が低下するため、これによって融点が気温を下回れば雪は水へと変化する。しかしこれで低下する融点は数度から十数度程度であるため、極端に低い温度の中では効果が得られない。また、予め雪が降る前に積もるのを防止するためのものは不凍剤と呼ばれるが、融雪剤と同一のものである。 融雪剤は主に積雪地域の高速道路を中心に一般道路に撒かれる。融雪剤は車の足回りの錆の原因になる他、周辺環境への影響が懸念されている。