脅迫罪
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脅迫罪とは、相手を畏怖させること自体により成立する犯罪のこと。日本の刑法では刑法第222条に定められている犯罪で、未遂罪は存在しない。「刑法 第二編 罪 第三十二章 脅迫の罪」に、強要罪とともに規定されている。金品を略取(強取)する目的で行う場合は恐喝罪、強盗罪が成立するため、脅迫罪とはならない。公訴時効は、刑事訴訟法第250条6号により、三年である。
目次 |
[編集] 条文
- (脅迫)
- 第二二二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
- 2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
[編集] 保護法益
保護法益は、意思の自由である。ただし、私生活の平穏も同時に保護法益となると解する説もある。
[編集] 行為
脅迫罪においての脅迫は、人の生命、財産、身体、名誉、自由(通説によれば貞操や信念も含む)に対して害悪する告知を行うことである。相手が恐怖心を感じるがどうかは問わない(抽象的危険犯)。
[編集] 対象
- 脅迫の対象となる利益は、罪刑法定主義から列挙されたものに限定されると解されている。
- 問題になる利益としては、貞操、(財産上の)信用、交際(村八分)などがあげられている。
- 脅迫の対象となる人物は、被害者本人(1項)か、「親族」(2項)に限られる。
[編集] 方法
判例によれば、口頭や書面に限られず、相手方が知ることができれば成立する。態度であってもよい。
- 具体的には、集落においてある住民に対して絶交の決議をし(いわゆる村八分)、被絶交者がその決議を知った場合である(大判大正13年11月26日刑集3巻831頁)。
[編集] 内容
一般人が畏怖するに足りるものでよい。「殺す」という言葉のほかに、「しばく」「どつく」「殴る」「埋める」なども該当する。
- 必ずしも犯罪行為に限られないというのが判例である。正当な行為を告知して脅迫になるのはおかしいという学説もある。
- 「お前の不正を告発するぞ」と言った場合、真実の追究が目的ではなく、単に畏怖させる目的であれば脅迫罪は成立する(大判大正3年12月1日刑録20輯2303頁)。
- 害悪は、告知者が関与できる、と一般的に感じられるものでなければならない(ただし、害悪の告知時に実際に関与できている必要はない)。害悪をもたらす人間が告知者以外の第三者であってもよい(間接脅迫)。
- 「君には厳烈な審判が下されるであろう」と告げるのは、害悪の告知に当たらない(名古屋高判昭和45年10月28日刑月2巻10号1030頁)。
- 「俺の仲間は沢山いて、君をやっつけようと皆意気込んでいる」と告げるのは、害悪の告知に当たる(最判昭和27年7月25日刑集6巻7号921頁)。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
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刑法「第二編 罪」 |
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