経験値
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経験値(けいけんち、Experience point)は、ロールプレイングゲーム(RPG)やシミュレーションRPGにおいてキャラクターの成長の基準となる数値のこと。Ex、EXP、XPなどと略される。pointに着目して、経験点(けいけんてん)とも呼ばれる。
一般に、戦闘した・敵を倒した・任務を完遂した、などの出来事によりキャラクターが「経験を積んだ」と見なされる時、経験値は増加する。そして増加した結果、キャラクターは「成長」して能力が向上する。
成長をどう表現するかは個々のゲームによって異なるが、大抵は次に述べる2種類のどちらかに分類される。1つは、経験値が定められて基準に達するごとに、キャラクターのレベルが上昇するというもので、レベル上昇に伴って様々な数値が上昇したり、新たな能力を獲得することになる。もう1つの手法は、蓄積された経験値を消費するというもので、経験値を代価として能力の上昇や新たな能力を「購入」するのである。前者は単純で分かりやすいがプレイヤーにとって自由度が低くなりがちで、後者はキャラクターの成長をプレイヤーが細かくコントロールできる一方でルールが煩雑になりやすい。このため、多くのゲームでは、レベル上昇時の成長に選択肢を持たせる、購入できる成長に制約をつける、などの手法で両者の利点を持たせる工夫をしている。
元々、世界最初のRPGと言われる ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)で、導入されたシステムであり、アメリカ軍の昇進システムにヒントを得たとも言われている。戦闘や目的の達成によりキャラクターが徐々に強くなるというシンプルな概念であるが、プレイヤーキャラクターへの感情移入とあいまって、多くのRPGでゲームの楽しさの中心的なシステムとなっている。一方、古典的RPGの一つであるルーンクエスト(Rune Quest)のように、技能の成功率が少しずつ向上するため、経験値や段階的なレベルによって表現される成長システムを持たないゲームや、SF RPGであるトラベラー(Traveller)の様に通常の手段ではキャラクターが成長しないゲームも存在する。
コンピュータRPGの世界では、ウィザードリィシリーズをはじめ、大半のゲームで経験値の概念が導入されている。日本でもザ・ブラックオニキスやドラゴンクエストシリーズで良く知られるようになった。ハイドライドやイースシリーズでは、キャラクターがレベルアップするたびに敵を倒して得られる経験値が減少していくという工夫が見られる。変形としてザナドゥ、ファイナルファンタジーII やロマンシングサ・ガシリーズでは、武器や魔法の熟練度が導入されている。
そこから転じて、恋愛などの熟練度を経験値で表現することもある。