粒子線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
粒子線(りゅうしせん、Particle beam)とは、主にレプトン、ハドロン、(イオン化された)原子や分子などの粒子が、束状になって進んでいく状態(ビーム)のことである。
粒子線の代表的なものとして、電子線、陽子線、中性子線などがある。アルファ線(ヘリウムの原子核)やベータ線も粒子線である。
電子線は身近なものではテレビのブラウン管やプラズマテレビなどの放電式表示装置、研究や製造分野では、光学顕微鏡よりも高倍率で被写体深度の深い観察ができる電子顕微鏡、半導体マスク製造やウェハーなどへの直接描画による微細な回路を形成するための電子線描画装置などに用いられる。 中性子線は物性物理学において結晶構造や磁気構造の解析(中性子散乱)の手段として利用されている。 また、イオン化した原子、分子などの粒子線を表面に当てて、表面構造を解析する手法(イオン散乱)も存在する。
荷電粒子の粒子線を人工的に作り出すためには加速器(シンクロトロン)が用いられる。
また不安定な放射性同位体を核破砕反応を使ってRIビームにする技術もあり、短寿命な放射性同位体の研究に利用されている。