福音派
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福音派(ふくいんは、英:Evangelical)は、キリスト教のプロテスタントを神学や信仰の姿勢によって比較分類する際に用いられる用語で、
- 福音主義の違訳、異称。
- 自由主義神学に対抗する、比較的旧守的で(時に神学や聖書学自体を否定するほど)敬虔な信仰姿勢。
- 主流派に対比される、現代的に刷新された礼拝様式をもつ新しい教会から、聖霊派を除いたもの(聖霊派を含む見解もある)。
- 信仰復興運動(リヴァイヴァリズム)の末裔にして今日の担い手。
- キリスト教根本主義者が自ら好む自称。
- 聖公会におけるローチャーチ(低教会)。
- キリスト教以外で、極度に頑迷な主張をする勢力を揶揄する言葉。用例として「日蓮宗福音派」、「浄土真宗福音派」等。
- 以上の諸定義がときにいくつも重複されながら用いられるため簡潔な記述は困難だが、上記定義2~4を適宜複合したものが最頻とみてよい。
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[編集] 概要
- 従来は単に福音的なプロテスタントを指す語としても使用されてきた(定義1)。但し、今日その意味でこの語が用いられる場合、よりその意味に相応しい福音主義という語や、定義2以下の限定的な含意の存在を話者が知らない場合が殆どである。
- 現在では19世紀ごろドイツから始まったリベラリズムに対抗する立場として使われる事が多い。いずれの教派も考え方が保守的な者からリベラルな者までを幅広く含み、それにより教派内で反目しあっている場合もあるが、福音派は各教派を横断する「保守的な信仰者」の総称である(定義2)。
- メインライン(主流派)のプロテスタント教会のうちで保守的かつ伝統的な立場に立つ教会、教団、教派を指すこともあるが、その場合の含意は話者や文脈により微妙である(定義1、2)。
- 定義2および定義5(定義2の先鋭化したもの)の立場からは
「聖書に啓示されている聖徒に与えられた初代教会から継承されるキリスト教の真理を守ろうとする福音主義的な運動であり、また保守的な神学の立場に立つ教団及び教派を指す」 と自己規定される。
- その歴史的源流は信仰復興運動にあり、キャンプミーティングで決心者を募る集会手法、ボーン・アゲイン(新生)の強調、「(旧分類)教派」の枠を超えた「運動」であることなどの特徴が明白に継承されている(定義3、4)。自らを「覚醒した真のキリスト教徒」、それ以外の伝統的主流派の信徒を「信仰の冷めた形だけのキリスト教徒」と規定する自意識も歴史的にここから由来する。
- なお、福音派はキリスト教根本主義を包含し、それよりマイルドな領域をもカバーするより広い概念だが、定義5の用法も確実に実在するため、両者の混同の原因を全て部外者の無理解に帰すことは妥当ではない。
[編集] 福音派の特徴
- アメリカでは、有名な「進化論論争」や、また、昨今は「宗教右派」とかなり重複していることで世界的に有名になっているが、政治的立場は必ずしも右派(鷹派)とは限らず、たとえば共和党でもマーク・ハットフィールドのような議員や再洗礼派系の教団や教派のように聖書の使信は平和主義であると称える教派も多い。