砂の女
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砂の女(すなのおんな)とは、砂丘の穴の底にある一軒屋に閉じ込められた男と、その一軒屋に住む女とを描いた安部公房の長編小説である。 1962年6月に新潮社から上梓され、英語・チェコ語・フィンランド語・デンマーク語・ロシア語等の二十数ヶ国語で翻訳された。1963年、第14回読売文学賞を受賞。1968年、フランスで最優秀外国文学賞を受賞。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
主人公は砂漠に新種のハンミョウを採集しに向かうが、砂漠の中の村で寡婦が住む家に滞在するように勧められる。村の家は一軒一軒砂丘に掘られた蟻地獄の巣にも似た穴の底にあり、はしごでのみ地上と出入りできる。一夜明けるとはしごが村人によって取り外され、主人公は女とともに穴の下に閉じ込められ奇妙な同居を始める。村の家々は常に砂を穴の外に運び出さない限り砂に埋もれてしまうため人手を欲していた。村の内部では村長が支配する社会主義に似た制度が採られている。主人公は砂を掻きだす作業をしながらさまざまな方法で抵抗を試みるが、結局女と関係し彼女が妊娠するころには村を脱出する気力を完全に失う。女を病院へ連れて行くためにかけられた縄梯子を村人が外し忘れ、主人公は自由に穴の外へ出られるようになるが、「出られる」のでも「出られない」のでもない第三項を主人公が見出す場面で小説は終わる。
[編集] 映画化
1964年には安部公房自身による脚本で、勅使河原宏監督により映画化されている。岸田今日子、岡田英次ら出演。カンヌ映画祭において審査員特別賞等を受賞した。