白バイ
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白バイ(しろバイ)とは、警察が交通取締業務に使用する、業務執行に必要な各種装備を取り付けた白塗りのオートバイの呼称で、正式には交通取締用自動二輪車と称する。装備・規格は警視庁・各道府県警察で規定している。主に大型自動二輪車が用いられる。オートバイの機動力を示す実用例の一つである。皇宮警察本部の白バイは交通取り締まりは行わず、要人警護に専従する。
なお、警察のみでなく陸上自衛隊の警務隊も白バイを保有し、交通統制や車両誘導等の任務に使用される。
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[編集] 装備
- インパネ部にデジタルメーターが備えられており、ここに違反車両の速度が表示される。違反車両を検挙した際にメーター下のプリンタから違反速度を記載した小さな紙がプリントアウトされ、これが速度違反の動かぬ証拠となり、違反者はキップと一緒に、署名捺印を要求されることになる。従来は自車速度を示す速度計の隣に、より目盛りの細かい取締り用ストップ付アナログメーターが付いており(よって一部車種を除きタコメーターはない)、これを違反者に確認させていた。現在ではこのような方式での取締りは行われていない。
- 白バイの測定メーターは、一般の車両と違い、非常に精密に出来ており、また、定期的にメーターの検査を受けている。(月に1度検査をし、検査済みのシールを貼り付ける。このシールのない車両や、前回の検査から1ヶ月以上経過している車両でのスピードの測定は無効となる)
- 後部のサイドボックスには主に違反キップ類や地図(取り締まり場所特定のため)、その他用具類が収められている。
- 後部のボックスは、出荷時何も入っていないボックスが取り付けられているが、配分後、無線機用のボックスに換装し、無線機を取り付けたりする。
- 緊急走行時のサイレンはパトカーや他の緊急車両とも異なる、非常にけたたましい高音である。騒音の中でも聞こえ易くするためや、違反者に心理的抑圧をかけるためと思われる。
国の予算で支給された物と地方の都道府県予算で購入した物の2通りが存在する。主に大都市圏では国費物だけでは足りないので県費で購入し台数を確保する。一般に県費で購入する白バイは安価なものが好まれヤマハのFZ750Pは県費で購入した物である。神奈川などの予算に余裕のある県では国費バイクと同じ車種(VFR750PやVFR800P)が県費により導入されているが、最近ではスズキ製のGSF1200Pが安価な事もあり国費・県費共に同車を導入しているので、国費バイク県費バイクの違いが判らなくなって来た。
[編集] 白バイ乗務員の勤務地
白バイは交通機動隊で運用されることが殆どで、一警察署レベルでは殆ど運用されていない。よって、白バイ隊員も大半は交通機動隊に所属することとなるが、機動隊員と違うのは白バイ隊員は警察署勤務が多いというところである。
これは、白バイ隊は交通機動隊に属するが、実際の駐輪所は警察署内に置かれることのほうが多い為である。白バイは現場最前線での警察活動に用いられるので現場最前線に位置する警察署に駐輪し、白バイ隊員も警察署交通課に常勤していたほうが都合が良い為である。この為、訓練の際は訓練所に出向くが、報告書作成などは警察署内で行う白バイ隊員が多い。
つまり予算上は警察署の運用ではないが、実質的には警察署が運用している状態に近い。また白バイ隊の各班長も所轄の交通課主任と兼務の場合が多い。また指揮系統上には署の交通課長も含まれており、課長が命令して白バイ隊を指揮することもある。
[編集] 歴代白バイ
下記のようにいわゆるナナハンが採用されることが多く、白バイの代名詞的存在になっていたが、現在では更に大排気量の車両が用いられるようになってきた。
- メグロ500 活動期間 昭和30年代
- カワサキメグロ500 活動期間 昭和30年代後半
- ホンダ305 活動期間 昭和38年~46年
- ホンダCB350 活動期間 昭和43年~50年
- ホンダCB350 活動期間 昭和44年~51年
- ホンダCB450 活動期間 昭和45年~51年
- ホンダCB450 活動期間 昭和46年~51年
- スズキGT750 活動期間 昭和47年~53年
- ホンダCB470 活動期間 昭和48年~53年
- ホンダCB750 活動期間 昭和47年~55年
- ホンダCB550 活動期間 昭和49年~55年
- ホンダCB550 活動期間 昭和51年~58年
- ホンダCBX650 活動期間 昭和57年~平成6年
- ホンダCBX750 活動期間 昭和61年~平成11年
- ホンダVFR750 活動期間 平成元年~(誕生以来10年以上使用された、名機)
- ホンダVFR750改 活動期間 平成10年~(後方にロータリービーコン(パトライト)をポールで装着するなど安全性を向上させた改良版)
- ホンダVFR400 活動期間 平成5年~15年(女性白バイ隊員が誕生したのをきっかけに誕生)
- ホンダVFR800 活動期間 平成13年~(白バイの第一人者、ホンダが名機VFR750を進化させた現在の主流。)
- ヤマハFZ750 活動期間 平成5年~(主に県費で使用される)
- ヤマハFZ750改 活動期間 平成9年~
- スズキGSF1200 活動期間 平成16年~(トータルバランスではVFR800に劣るが、排気量によるパワーは現役一。)
[編集] 日本以外の白バイ
日本以外では日本製の白バイが多く活躍している。英語で白バイはPolice Motorcycleである。
特に米国ではカワサキ製のKZ1000Pが2002年の最終型(2005年に生産終了)まで1974年の初期型C型から数えればは30年間にもわたって生産されており、ハイウェイパトロールを始め、現在でも各公共機関のポリス、シェリフ等で使われている。しかしオレゴン州警察でBMW R1100RT-Pが採用されて以来、1997年にカリフォルニアハイウェイパトロールでも採用され、それ以来現在ではBMWのRT-P系が主流となり、続けてR1150RT-P が採用されている。まだHarley-Davidson FL系(FLHTPエレクトラグライド、FLHPロードキング、過去にはFXRP)も継続して採用されている。一部ホンダのST1100あるいはST1300、さらにテキサス州などではGL1800が採用されている。過去においてはモトグッチやスズキGS1000、ホンダGL1000、CB750Kなども採用されていた。
欧州においてはBMWのRT系が支配的である。以前はモトグッチ、トライアンフなども見られたが、BMWのR100RT-P以来、BMWが他を他を寄せ付けず採用され、Kシリーズ、さらにR1100RT-P、R1150RT-Pとなり、現在では最新型のR1200RT-Pが主流となっている。ホンダのST1100、ST1300、さらに一部の緊急車両改造会社がヤマハFJR1300などを地方の警察署のために改造し配備がなされている。また稀にCBR1100XXブラックバードが緊急車両として改造され配備されていることもある。
アフリカ、中近東、東南アジア、さらに南米等では、台湾や香港のように一部BMWが採用されている地域もあるが、今でも日本製の白バイが主流である。ホンダCBX650、ヤマハXJ600、スズキGSX750、GS500Eなどが警察車両として輸出されている。さらに中国、台湾などでは現地生産の小排気量車も警察用車両として使用されている。