特殊警棒
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特殊警棒(とくしゅけいぼう)とは、伸縮式の警棒である。材質は金属製が主だが、外国製の物ではまれに強化プラスチック製や硬質ゴム製の物も存在する。
通常の警棒に比べ、縮めた時の長さが20センチメートルを下回るなど、携帯性に優れていることから、世界各国で警察官や法執行機関職員、警備員等によって用いられている。
メーカーとしては日本ではノーベル工業(株)、アメリカではASP社、Monadnock社の製品が有名である。国内外に多数の製造業者が存在しているが、強度や品質等はメーカーによって玉石混交である。
なお、現在の日本において「特殊警棒」とは前述のノーベル工業(株)の登録商標であり、一般名詞としては「金属製警棒」もしくは「伸縮式警棒」と呼ぶのが妥当と思われるが、一般に「特殊警棒」の呼称が広く定着している。
ちなみに現在の日本の警備業の業界用語では「警棒」のことを「警戒棒」(けいかいぼう)と呼称している。このため、社団法人全国警備業協会発行のテキスト類では「特殊警棒」のことを「金属製警戒棒」と表記している。また、警察等においても公的な文書類では「特殊警棒」のことを「特殊警戒用具」と表記している。
日本においては警察官や警備員が用いる警棒の基準として「長さ60センチメートル以下、直径3センチメートル以下、重さ320グラム以下の円棒とする」と警察庁の規格で定められており、警察官や警備員の用いる警棒(特殊警棒も含む)はこの規格内で製作された物である。ノーベル工業(株)は警察庁の規格に適合した特殊警棒を製作しており、日本国内において警察官や警備員の携帯している特殊警棒はノーベル工業(株)の製品であることが多い。ただし、上記の基準に適合していればノーベル工業(株)以外の製品であっても用いることに問題はない。(なお、警察官の用いる警棒の基準については平成18年11月をめどに変更が予定されている。)
外国製の特殊警棒には上記の基準を超えた長さや重さの物も存在しており、日本国内でも護身用や防犯用という名目で一般向けに市販されている。これらの物は購入や所持自体は合法であるが、みだりに持ち歩くと凶器を携帯しているとして軽犯罪法違反の疑いが発生し、そのために警察への提出を求められることがありうるので十分な注意と正しい理由説明(説明の例「軽犯罪法第四条 この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない」を根拠に、権利を守る為などと説明する等)ができることや、不審な行動をとって職務質問など受けないようにする事が必要である。
基本的に護身用具として使われるが扱いようによって相手を死傷させかねない、れっきとした武器ともなる。 警察官や警備員の警棒操典では使用に際しては首から下の部分を打つなど相手に与える打撃は相手を取り押さえるのに必要最低限として過剰防衛にならないようにするよう指導されている。