警棒
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警棒(けいぼう)とは、一般的に腕の長さ、あるいはそれ未満の長さの棒で、武器または護身用具として使用されるものである。
材質は木製が多いが、外国製の物には強化プラスチック製や金属製、硬質ゴム製の物もある。単純な棒でなくトンファー型の物や特殊警棒も存在する。
その機能・用法上(刃物類と異なり相手に致命傷を負わせる危険が少ない等)、警察官や警備員が特殊警棒などの警棒を携帯していることが多い。ちなみに日本の警備業界の用語では「警棒」のことを「警戒棒」(けいかいぼう)と呼称している。基本的には殺傷力の低い護身用具として使われるが、扱いようによって相手を死傷させかねない、れっきとした武器ともなる。 警察官や警備員の警棒操典では使用に際しては、過剰防衛にならないよう、首から下の部分を打つなど相手に与える打撃は相手を制圧するのに必要最低限とする(“殴る”のではなく“叩く・打つ”)よう指導されている。
日本においては警察官や警備員が用いる警棒の基準として「長さ60センチメートル以下、直径3センチメートル以下、重さ320グラム以下の円棒とする」と警察庁の規格で定められており、警察官や警備員の用いる警棒(特殊警棒も含む)はこの規格内で製作された物である。
なお、機動隊などが装備する長い棒は警杖(けいじょう)と呼ばれ、警棒と区別される(「警杖」は「杖」の漢字が常用漢字表外字であるため、公式には「警じょう」と表記される。これは「拳銃」のことを「けん銃」若しくは「短銃」と表記するのと同じことである)。また、警杖は武器・護身用具として以外にも、犯罪捜査の際に遺留品を探すために藪をかきわけたり、応急の担架の芯としても利用されるなど広い用途で使われている。全長は90cm・120cm・180cmの3種類が存在する。
また、最近では警備員の携帯できる護身用具の基準が緩和され、一定の条件のもとで民間警備会社の警備員も警戒杖(けいかいじょう)という名称で警杖を携帯できるようになった。参考までに警戒杖の規格は「長さ90センチメートル超130センチメートル以下の円棒(白樫若しくはこれより硬度の低い木材若しくは強化プラスチックを主たる材質とする直径2.8センチメートル以下のもの又はアルミ合金を主たる材質とする先筒部分の直径2.8センチメートル以下及び厚さ0.2センチメートル以下の2段式若しくは3段式のもの)」である。
なお、警察官の用いる警棒については2006年11月から基準が変更され、現在のものより12センチ長い65センチになり、強度も改良される予定。パトロールなどの際、相手が警察官に抵抗するケースが近年増加し、凶器を持つ相手に向かい合う場面も多く、一線の警察官から「短くて相手と間合いが取りにくい」などと警棒の改良を求める声が出ていた(棒状鈍器や包丁、ナイフ位ならばともかく、日本刀相手では警棒を使うより拳銃で威嚇する方が効果的)。
新しい警棒は従来と同じアルミ合金製。グリップの材質を改良するなどし、振った時に滑り落ちにくくした。全体的に太くなって強度が増したという。
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[編集] 警察官が使う場合
警察官が警棒・警杖を使用する場合は「警察官職務執行法」ならびに「警察官銃器武器取扱規範」により定められた規定に則って使用する。
日本の警察官は拳銃を使用することが規定上、非常に困難である為、犯罪取締りや犯罪捜査の現場では警棒や警杖を持って対処することが非常に多く、拳銃で対応することというのは極めて少ない。一般に拳銃を携行しない場合でも警棒と手錠は必ず着装している。
[編集] 警備員が使う場合
現在の日本の警備員は法律上いかなる特権も有しておらず、(ただし当然ながら最低限度の基本的人権は認められている)一般私人と変わらないため、警戒棒・警戒杖の使用は正当防衛が成立する場合に限られる。また、その携帯に関しても都道府県公安委員会規則で制限や禁止がされている場合がある。例えば、施設警備や現金輸送に従事する際は携帯しても良い(=使用する機会に遭遇する可能性が高い)が、交通誘導や雑踏整理に従事する際は携帯してはならない(=使う必要がないから)等である。
あくまでも例えであるが、警備員が警戒棒や警戒杖を使用するような事態は警察官が拳銃を使用するのと同じぐらい重大な事であると考えるべきである。
[編集] 参考資料
- 『改訂 術科必携』(警察大学校術科教養部編・警察時報社 平成12年10月18日発行)
- 『警備員教育教本 基本教育編』(社団法人全国警備業協会・平成11年11月27日 改訂2版2刷発行)
- 『警備員指導教育責任者講習教本①』(社団法人全国警備業協会・平成15年6月10日 五訂初版発行)
- 『警備員指導教育責任者講習教本②』(社団法人全国警備業協会・平成15年6月10日 五訂初版発行)
- 『警戒杖術』(社団法人全国警備業協会・平成15年8月25日 初版発行)