特定非営利活動法人
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特定非営利活動法人(とくていひえいりかつどうほうじん)とは、特定非営利活動促進法に基づいて特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、同法の定めるところにより設立された法人である。NPO法人とも呼ばれる(NPOは、 Non-Profit Organization の略である。「NPO」も参照のこと。)。
金融機関関係のカナ表記略号は「トクヒ」。
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[編集] 概要
特定の公益的・非営利活動を行うことを目的とする法人である。「非営利」とは、団体の構成員に収益を分配せず、主たる事業活動に充てることを意味し、収益を上げることを制限するものではない。
特定非営利活動とは、一般に不特定かつ多数の者の利益(=公益)の増進に資する法人として公益法人が民法で既に定義されていることから、特定非営利活動促進法は法別表に掲げる一定の分野(=特定非営利活動)に限定列挙されたものをいう。
特定非営利活動法人は、宗教的・政治的活動を主たる目的として行うことはできない。また、選挙活動を目的とした活動は行うことができない。但し、これは、政治、宗教関係者がNPOに関わることを排除するものではない。
[編集] 設立
法人の設立は、都道府県知事(事務所が単一都道府県内のみの場合)もしくは内閣総理大臣(複数都道府県に事務所を設置する場合)の認証を得たうえで、設立登記を経てなされる。
認証事務は、法及び内閣府もしくは各都道府県の示す「NPO法の運用指針」等に基づき行われる。設立申請者は、認証基準に合致していることを積極的に疎明する必要がある。都道府県知事もしくは内閣総理大臣は、申請者の提出した書類の内容が認証基準に合致しているときは、認証をしなければならない。
[編集] 認定特定非営利活動法人制度
この制度は、特定非営利活動法人の中で、組織運営及び事業活動が適正であること等の一定の要件を満たすものに対して、個人や法人から受ける寄附金について課税上有利になる等の恩典が受けられる団体として、国税庁長官が認定するものである。 これは、財政基盤の脆弱な特定非営利活動法人に対し、寄付が集まりやすいようにという配慮がなされたものである。しかしながら、認定を受けるための条件(パブリックサポートテスト)が厳しく、2005年5月31日現在では2万を超えるNPO法人全体のうち、わずか34団体が認定を受けているにすぎない。
[編集] 特徴と問題点
従来の公益法人(民法第34条法人等)に比べ、設立手続きが容易であるため、法施行直後から、法人格を取得する団体が急増し、2006年8月現在2万8千を超える団体が認証されている。特に、従前は任意団体として活動していた団体が法人格を取得するケースが目立つ。また、新規設立の場合は、いわゆるNPOの非営利性のもつクリーンなイメージが、法人格選択の理由であることも少なくない。
こうした中で、非営利性のもつ好感の得やすさを隠れ蓑に、事実上営利目的であったり非公益的活動を行ったりする例も増加した。とくに、企業や業界団体の広報宣伝活動の隠れ蓑にしたり、犯罪に関与(暴力団、悪徳商法)したりするケース等が目立つようになり、全般について見直しが進行中である。
内閣府は、市民による監視の一環として、活動が懸念される法人に対し「市民への説明要請」を実施することとした。この説明要請の内容、及び要請への回答については、すべて内閣府ホームページ上で閲覧できるという行政措置をした。この点についても法制化に向けて着手している。
欧米では数万人、数十万人単位の会員の支援や、多額の寄付金を受けて活動している団体が少なくない。しかし、日本ではまだNPO活動に対する国民の理解が低く、会員の支援だけで活動ができている団体は極めて少ない。また、寄付免税などの税制優遇措置がないこと、また金融機関からの融資が得にくいことから、多くの団体は財政面で苦心している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- NPO公式ホームページ (内閣府国民生活局)
- 認定NPO法人制度 (国税庁)
- NPO法人データベース「NPO広場」 (日本NPOセンター)