牙 (動物)
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牙(きば)は、動物の持つ、骨格の組織と同一または近い組織でできた湾曲円錐形の器官。口にある、いわば口器の一種である。
[編集] 脊椎動物における牙
脊椎動物では、哺乳動物に犬歯および門歯の変形した器官としてあることが多い。長く太くなり、獲物や天敵に対しての攻撃または威嚇器官として使われる。犬歯が発達する例は、上顎で発達するネコ目や下顎で発達するイノシシなどがある。門歯は、長鼻目の上顎にある象牙や下顎にあるイッカクなどで見られる。
また、哺乳類以外ではヘビ類のものが知られている。本項目の毒牙の項で解説する。
[編集] 節足動物における牙
節足動物では、クモ類で大鰓などの口器の一部が著しく発達したものを特別に牙という場合がある。ドクグモでは毒の注入に使われる。
[編集] 毒牙
ヘビ類の歯は発達して牙状の構造をとっている。これは哺乳動物における牙と同じ役割を果たす。しかし、なかには毒腺と連携して毒牙と呼ばれる器官になっている種類もある。一般に毒ヘビと呼ばれる類のものである。 牙に毒を通すための溝が縦に入っている毒牙を溝牙(英語:grooved fang)といい、コブラやウミヘビが持つ。トンネルが縦に入っている毒牙を管牙(英語:perforated fang)といい、マムシやハブなどが持つ。 溝牙では、牙であけた穴に牙の根元につながった毒腺から液体毒を溝に伝わせて流し入れる。管牙では根元からトンネルに液体毒を注入し、牙の先にあるスリット状の穴から毒を注入する。管牙は弱く繊細な構造であるため、管牙を持つ毒蛇はスペアのような役割を果たす副牙を持つ。