源典侍

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源典侍（げんのないしのすけ）は、源氏物語の登場人物の一人の通称。年をとってはいるが、色好みの高級女官として登場する。

[編集] 境遇

桐壺帝の朝廷で内侍所の次官（従四位の下相当）として「紅葉の賀」に初登場する（後に長官にまで出世）。源（みなもと）の名字からもわかるように、先祖は皇族に連なる家の出身。

趣味、教養、家柄、能力等、女官として申し分のない女性だが、色好みで有名であった。

[編集] 生涯

若くして内侍所の女官として朝廷に入り、帝の信任を得るようになった。

光源氏と頭中将が試みに声をかけると、まるで妙齢の女性のように気のある素振りをして二人を辟易させる。源氏と逢引中に、悪戯心を起こした頭中将に踏み込まれ醜態を晒すが、後日けろりとして源氏にしなだれかかり、帝にからかわれる。

相当に長生きをしたようで、源氏に「良い人ほど早死にして、そうではない人ほど長生きすることよ」と理不尽に嘆かれなどした。

[編集] 人物

才能と色気と生命力が溢れるオバサマ。若い頃はなかなか持て囃されたようではあるが、年に釣り合わない言動で貴公子二人を辟易させた。

最も有名なエピソードは、意味深な歌（森の下草老いぬれば～）を書いた若向きの真っ赤な扇を持ち歩いていた一件。

優雅な恋愛物語には不似合いな人物とは言われるが、伊勢物語の「九十九髪」での貴公子が老女に情をかける件を下敷きにしたのではないかという説もあり、在原業平の東下りが光源氏の西国下りに投影されていることからも考えて有力な説に思える。