海事教育機関
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海事教育機関(かいじきょういくきかん)は、海技従事者を養成するための機関。法律上第一種養成施設、第二種養成施設に分類できるが、第一種養成機関でも卒業時の免除の大きさや級が大きく異なる。
近年では、これら養成施設を出た人材でも海運企業へ就職しない者も多々いるため、企業が独自に船員を養成することができる、新三級海技士が設置された。日本郵船では今年度、この制度に則り三名を海上社員として一般大学から雇用している。
本項は、海技従事者の特に養成施設ごとでの分類を行った。
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[編集] 第一種養成施設
第一種養成施設は乗船履歴を有しない者を対象とした養成機関である。
[編集] 大学・大学校
大学における、海事教育機関はいくつかに分類すると以下のとおりである。
[編集] 旧商船大学系
旧商船大学系の海事教育機関である。就業年数は4年(乗船実習科含まず)。 卒業と同時に、三級海技士(航海又は機関)の筆記試験並びに乗船履歴が(乗船実習科に進んだ場合)免除される。 航海実習は、航海訓練所練習船にて行う。
[編集] 水産系大学
就業年数は4年。卒業と同時に海技士(航海又は機関)の筆記試験を免除する。(級及び乗船履歴については各学校にて異なる) 航海実習は、各学校(学部)保有の練習船にて行う。
[編集] 東海大学
東海大学海洋学部は私立大学での海事教育機関である。就業年数は四年(乗船実習過程は除く)。 所定の課程を修了した者は、筆記試験並びに乗船履歴を免除する。 航海実習は、学校保有練習船望星丸にて行う。
[編集] 海上保安大学校
海上保安大学校は、国土交通省海上保安庁管轄下の教育機関である。 卒業後は、三級海技士(航海又は内燃機関限定機関)の筆記試験並びに乗船履歴を免除される。 航海訓練は、巡視船こじまにて行う。
詳細は海上保安大学校を参照のこと。
[編集] 短期大学校
海上技術短期大学校は独立行政法人海技教育機構傘下の海事教育機関である。高卒を対象とし就業年数は二年。航海、機関以外の司ちゅう科がある。 卒業後は、四級海技士(航海及び機関)の筆記試験、乗船履歴を免除される。 航海実習は、航海訓練所練習船にて行う。
- 波方海上技術短期大学校
- 清水海上技術短期大学校
[編集] 商船高等専門学校
商船高等専門学校は全国に5つある商船学科を有する高専の名称である。中卒の者を対象とし、就業年数は5年半。 卒業後は、三級海技士(航海又は機関)の筆記試験、乗船履歴を免除される。商船高等専門学校を参照のこと。 遠洋航海実習は、航海訓練所の練習船にて行う。
- 鳥羽商船高等専門学校 - 三重県鳥羽市
- 富山商船高等専門学校 - 富山県新湊市
- 弓削商船高等専門学校 - 愛媛県上島町
- 広島商船高等専門学校 - 広島県大崎上島町
- 大島商船高等専門学校 - 山口県周防大島町
[編集] 海上技術学校
海上技術学校は全国に5つある独立行政法人海技教育機構傘下の海事教育機関である。中卒の者を対象とし、就業年数は三年(乗船実習含まず)。 卒業後は、四級海技士(航海及び機関)の筆記試験、乗船履歴(卒業後乗船実習科へ進んだ場合)を免除される。 乗船実習科での実習は航海訓練所の練習船にて行う。
海上技術学校を参考のこと。
[編集] 水産高等学校・海洋高等学校
水産高等学校又は海洋高等学校は、中卒の者を対象とし就業年数は3年。 五級海技士(航海又は機関)の筆記試験及び乗船履歴を免除する。又、専攻科を有する学校については、専攻科へと進学することにより三級海技士(航海又は内燃機関限定機関)の筆記試験が免除になる。 遠洋航海実習は、各校保有練習船にて行う。
- 香川県立多度津水産高等学校
- 愛媛県立宇和島水産高等学校
- 福岡県立水産高等学校
- 山口県立水産高等学校
- 青森県立八戸水産高等学校
- 福井県立小浜水産高等学校
- 宮城県水産高等学校
- 静岡県立焼津水産高等学校
- 山形県立加茂水産高等学校
- 三重県立水産高等学校
- 島根県立隠岐水産高等学校
- 京都府立海洋高等学校
- 茨城県立海洋高等学校
- 高知県立高知海洋高等学校
- 新潟県立海洋高等学校
- 富山県立海洋高等学校
- 秋田県立男鹿海洋高等学校
[編集] 海上保安学校
海上保安学校は、国土交通省海上保安庁管轄下の教育機関である。 卒業後は、五級海技士(航海又は機関)の筆記試験並びに乗船履歴を免除される。 航海訓練は、巡視船みうらにて行う。
[編集] 第二種養成施設
第二種養成施設は、乗船履歴を有するものを対象とした再教育機関である。
[編集] 海技大学校
海技大学校を参考のこと。
[編集] それ以外の機関
[編集] 通信関連
通信士の養成機関だったが、GMDSSの施行に伴いその機能は縮小傾向にある。