派閥
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
派閥(はばつ)とは組織内において利害で結びついた人々によって形成する集団。
目次 |
[編集] 政党の場合
政党の派閥の場合、その政党で統一されているもの以外の政策や主張に共通点のある者同志が集まって、意見の集約と統一された政策の形成を図り、政策の実現に向けての活動として、その政党の執行部を担当もしくは目標とし、政党の運営の基本単位になるなどを行う組織または団体。自民党内では政策集団と言い換える事もしばしば行われている。
どんな二人の人の間にも、充分細かく見れば、意見の相違は存在する。故に、政党内で統一された政策を作る過程で、切り捨て・妥協を強いられる細かい意見が必ず出る。これら細かい意見が共通な者同志が集まり、別の細かい意見に替わって政党の採用する政策にしようとするのが派閥である。政党内の政党とも言える。
一方、本来個人の集まりである政党を理解するとき、政党より小さな集団の集まりとして政党を扱う方法がある。このような分析手法を用いた研究者が勝手に党員を分類したものが、派閥と呼ばれることもある。
[編集] 政党連合と派閥
政党連合とは、政治において政策や主張に共通点のある政党同志が集まって、意見の集約と統一された政策の形成を図り、政策の実現に向けての活動として、政権を担当もしくは目標とし、議会の運営の基本単位になるなどを行う組織または団体である。
政党は定義上は個人の集合体であるが、ある程度の規模を持つ政党をこの定義で分析するのは非常に困難である。従って政党をより小さな集団(派閥)の集合体と看做せば、政党連合と政党との間には違いがなくなり、政党連合における政党は、政党における派閥と同様の働きをする。
いくつかの研究者は、自由民主党を「一つの政党」ではなく「派閥と呼ばれる政党が複数集まった、長期政党連合」との見方を採っている。
[編集] 派閥政治
[編集] 仕組みと現状
単記非委譲式投票(中選挙区制など)では、一つの選挙区に2人以上の候補を立てるほど大きな政党は、票の分配に失敗すると議席を失うため、自らを適当な大きさの中政党に分割して選挙を戦う方が多くの議席を得られる。日本の55年体制の派閥はこの仕組みで成り立っていた。しかし選挙制度が小選挙区比例代表並立制になり、小選挙区では2人以上の候補を立てる意味が無くなり、比例代表では票の分配を気にしなくていいため、中政党に分かれて戦う必要がなくなった。このため派閥政治は現在、選挙制度に合わせて大きく変化しようとしている。
[編集] その弊害
派閥政治は時折有効な政治ができなくなる恐れがある。派閥力学によって党や国会の役職や閣僚などが割りふられ、適任とはいえない人が大きな役職につく恐れがある。
党内に多様な価値観を形成することに繋がり、寄り合い所帯化しやすい。そのため、党のアイデンティティーが国民に伝わりにくくなる。
[編集] その功績
派閥政治は政党連合と同等であり、単一の政党に多様性をもたらす。これにより、幾多の政治変動にも対応でき、一枚岩の政党では本来成し得ない広大な支持基盤を持つ安定した政党が出来る。
価値観の多様化が進む現代社会では、政党制も支持基盤の多様化に合わせて多党化しないと問題が生じ、小党乱立を受け入れざるを得ない。その時でも実効性のある政権を運営するのに、政党連合=派閥政治の経験は大きく役立つだろう。
若い議員を育成する機能も果たしている。