水星の日面通過
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水星の日面通過(すいせいのにちめんつうか)とは、水星が太陽と地球のちょうど間に入る天文現象である。 最近では2003年と2006年に起こった。次の2回は2016年と2019年に起こるが、次回日本で見られるのは2032年になる。
目次 |
[編集] 経過と観測
日面通過の間、水星は太陽を横切っていく小さな黒い円盤のように見える。水星は太陽の東から太陽に近づき、太陽面を東から西へ横切っていく。日面通過の際の水星の見かけの大きさは太陽の1/150以下と小さく、太陽黒点と区別が付けにくいこともある。しかし、黒点が不規則な形なのに対し水星は完全な円で、さらに黒点より暗く見えるので区別できるだろう。
太陽面は極めて明るいため、肉眼で直接見ることは危険である。双眼鏡や望遠鏡で見ることはさらに危険で、視力に恒久的な障害が残り、失明する可能性もある。水星の日面通過を観測するには、望遠鏡を用いて太陽の像を投影版に投影したり、望遠鏡にフィルターを付けて太陽面を観察したりする方法がある。水星の見かけの大きさが小さすぎるため、金星の日面通過の場合のように、特別な眼鏡やフィルター、日食グラスなどを使って肉眼で観測することは難しい。
[編集] 頻度
地球から観測すると、水星の日面通過は1世紀に13回か14回の割合で起こる。これは明らかに金星の日面通過よりもずっと頻度が高い。その理由の一部は、水星が金星よりも太陽に近い軌道を回っており、軌道上を公転する速度がより速いことにある。
水星の日面通過が起こる可能性があるのは5月10日の前後か、11月10日の前後のみである。これは、水星が、地球の軌道平面を横切る点である昇交点や降交点を通過するのがこの時期であるためである。この時期以外は太陽と水星、地球が完全に一直線に並ばないため、水星の日面通過は起こらない。水星の昇交点や降交点の黄経の値はゆっくりと大きくなっていくため、水星の日面通過が起こる日付もゆっくりと遅くなっていく。西暦3426年以降は、水星の日面通過は6月と12月に起こるようになる。
11月の日面通過は、7年、13年、あるいは33年の間隔を置いて起こる。5月の日面通過が起こる間隔は13年か33年のみである。13年周期、あるいは46年周期で、似たような特徴を持つ日面通過が繰り返される。これは、地球が13回公転する間に水星はほぼ54回公転し、また地球が46回公転する間に水星はほぼ正確に191周するからである。両方を合わせると、3年、4年、6年、7年、10年、13年といった間隔で起こる。
以下の表を見ると分かるように、水星の日面通過は5月よりも11月により頻繁に起こる。これは水星の軌道の離心率が大きいことから説明できる。11月の日面通過の頃は、水星は5月の日面通過よりも地球から遠くにある。日面通過の時は水星が太陽と地球の間に入っていることから内合であるため、11月のほうが水星は太陽に近いことになる。従って、5月には角速度が11月よりも小さく、日面通過が長く続くことになる。
5月の日面通過では、水星は遠日点の近くに位置し、角直径は12″である。11月の日面通過では、水星は近日点の近くにあり、角直径は10″である。
[編集] 過去と未来の日面通過
水星の日面通過が最初に観測されたのは1631年11月7日のことで、観測者はピエール・ガッセンディだった。彼はそれから1ヶ月後に金星の日面通過を観測しようとして失敗したが、それは彼が不正確な天文計算表を使っており、パリを含むヨーロッパの多くで観測できないことに気付かなかったからだった。金星の日面通過はエレミア・ホロックスによって1639年に観測されるまで見られなかった。
日面通過の 中央時間の 日付 |
時間 (UTC) | 備考 | ||
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開始 | 中央 | 終了 | ||
1907年11月14日 | 10:24 | 12:07 | 13:50 | |
1914年11月07日 | 09:57 | 12:03 | 14:09 | |
1924年05月08日 | 21:44 | 01:41 | 05:38 | |
1927年11月10日 | 03:02 | 05:46 | 08:29 | |
1937年05月11日 | 08:53 | 08:59 | 09:06 | 部分的な日面通過が南アフリカ、南アラビア、南アジアと 西ヨーロッパでだけ見られただった。 |
1940年11月11日 | 20:49 | 23:21 | 01:53 | |
1953年11月14日 | 15:37 | 16:54 | 18:11 | |
1957年05月06日 | 23:59 | 01:14 | 02:30 | |
1960年11月07日 | 14:34 | 16:53 | 19:12 | [1] |
1970年05月09日 | 04:19 | 08:16 | 12:13 | [2] |
1973年11月10日 | 07:47 | 10:32 | 13:17 | [3] |
1986年11月13日 | 01:43 | 04:07 | 06:31 | [4] |
1993年11月06日 | 03:06 | 03:57 | 04:47 | [5] |
1999年11月15日 | 21:15 | 21:41 | 22:07 | [6] 部分的な日面通過がオーストラリア、南極、 ニュージーランドの南の島で見られた。 |
2003年05月07日 | 05:13 | 07:52 | 10:32 | [7] |
2006年11月08日 | 19:12 | 21:41 | 00:10 | [8] |
2016年05月09日 | 11:12 | 14:57 | 18:42 | |
2019年11月11日 | 12:35 | 15:20 | 18:04 | |
2032年11月13日 | 06:41 | 08:54 | 11:07 | |
2039年11月07日 | 07:17 | 08:46 | 10:15 | |
2049年05日07日 | 11:03 | 14:24 | 17:44 | |
2052年11月09日 | 23:53 | 02:29 | 05:06 | |
2062年05月10日 | 18:16 | 21:36 | 00:57 | |
2065年11月11日 | 17:24 | 20:06 | 22:48 | |
2078年11月14日 | 11:42 | 13:41 | 15:39 | |
2085年11月07日 | 11:42 | 13:34 | 15:26 | |
2095年05月08日 | 17:20 | 21:05 | 00:50 | |
2098年11月10日 | 04:35 | 07:16 | 09:57 |
[編集] 太陽をかすめるだけの日面通過
時には水星が太陽をかすめていくだけの場合もある。この場合、地球上のある地域では完全な日面通過が見られるが、他の地域では部分的な日面通過(第2接触と第4接触が無い)しか見られないことがある。1999年11月15日の日面通過はそのような現象であり、その前は743年10月28日だった。次に起こるそのような現象は2391年5月11日に見られる。
世界のある地域では部分的な水星の日面通過が見られるが、他の地域は水星が太陽のそばを通り過ぎるだけということも有り得る。そのような現象が最後に起こったのは1937年5月11日であり、その前は1342年10月21日だった。次にそのような現象が起こるのは2608年5月13日である。
[編集] 同時日面通過
水星の日面通過と金星の日面通過が同時に起こるのは極めて稀であり、次に起こるのは69163年と224508年だけである。
水星の日面通過と日食が同時に起こることも非常に珍しい。水星の日面通過中に日食が起こるのは次は6757年7月5日であり、シベリア東部で見ることができる。
[編集] 関連項目
それぞれの惑星で観測できる日面通過 | ||||||
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金星 | 地球 | 火星 | 木星 | 土星 | 天王星 | 海王星 |
水星 | 水星 | 水星 | 水星 | 水星 | 水星 | 水星 |
金星 | 金星 | 金星 | 金星 | 金星 | 金星 | |
地球 | 地球 | 地球 | 地球 | 地球 | ||
火星 | 火星 | 火星 | 火星 | |||
木星 | 木星 | 木星 | ||||
土星 | 土星 | |||||
天王星 |
[編集] 外部リンク
- NASA:水星の日面通過、7世紀分のカタログ:西暦1601年から西暦2300年まで
- NASA: 2003年に起こった水星の日面通過の画像
- 【特集】2003.05.07 水星日面通過 - AstroArts
- 【投稿画像集】5月7日の水星日面通過を捉えた - AstroArts
- 水星の日面通過2003年5月7日 - 厚木市子ども科学館