林道
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林道(りんどう)とは、森林の整備・保全を目的として森林地帯に設けられる道路の総称である。
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[編集] 概要
森林法の規定に基づいて設置されるものであり、道路法および関連法規(道路構造令など)の枠外にある。但し、一般の用に供される林道については、道路交通法・道路運送車両法などの規定は適用される。所管は、国土交通省ではなく、林業を管轄する農林水産省(林野庁)である。林業の受益地に設けられるものであり、必ずしも林の中だけとは限らない。 このような道路の制度は日本独自のものであり、英語でも"forest road"のほか"rindou"と呼ばれることがある。
また、第二次世界大戦の前までは伐採や搬出とそれに必要な資材・人員の輸送は人の足に頼ることがほとんどだったので、当時林道と呼ばれたものは人が通れる程度のものが多かった。それらの林道の一部は現在でも登山道として使われたり、ハンターや釣り人、山菜取りの人に利用されているが、多くは山林中に痕跡のみをとどめている。
また、広義(日常語的)には林の中の道を全て林道と呼ぶ。
[編集] 区分
民有林の中の林道は、一般補助林道(国庫補助を受けて都道府県・市町村・森林組合などが敷設するもの)と緑資源幹線林道(独立行政法人緑資源機構が広域な地域について敷設するもの)とに分けられる。一般補助林道は、敷設者の作成する林道台帳に記載される。緑資源幹線林道は、以前は特定森林地域開発林道(スーパー林道)と大規模林業圏開発林道(大規模林道)とに分けられていたが、現在は一本化されている。国有林の中に設けられる林道については、国有林野事業特別会計により整備される。
[編集] 林道をめぐる問題
- 特に「緑資源幹線林道」などは、外観や利用状況は国土交通省所管の道路法に基づく道路とほとんど変わらない。このあたりは、利用者の便益とは全く無関係な、省庁間の予算の取り合い、あるいは地域への利益誘導を目的とした族議員の駆け引きの結果であるという批判もある。
- 森林地帯を通過するため、自然破壊の代表格とも揶揄されるが、森林の整備や保護、土砂災害対策を行う上で森林奥地にアクセスする林道は不可欠であり、一定量の整備や定期的な補修は必要とされる。自然保護の観点から建設反対運動を受けた林道が、開通後、ネイチャーウォッチングに使われるなど皮肉な現象も見られる。