東伏見慈洽

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東伏見慈洽（ひがしふしみじこう;明治43年(1910年)5月16日 - ）は、日本の華族。久邇宮邦彦王第三王子。夫人は亀井茲常伯爵の二女保子。皇族の時は「邦英王」と称した。

東伏見宮・同妃より御子のようにかわいがられており、両殿下には子女がなかったため、久邇宮と相談の上、当時9歳であった邦英王を東伏見宮に永く御預かりの形で東伏見宮に迎えることとなり、王は、大正8年(1919年)10月26日の吉辰を卜して東伏見宮邸に移った。

邦英王は依仁親王薨去の際は御沙汰によって葬儀の喪主を務めていた。事実上、邦英王は、養子に近い存在であったといえる。しかし、明治皇室典範は、皇族に養子を認めていなかったため（第42条）、邦英王は東伏見宮を皇族として承継することができなかった。邦英王を東伏見宮で養育することも、養子又は養子類似の趣旨で宮内省が認めていたわけではない。

邦英王は、昭和5年（1930年）5月に成年となり、貴族院皇族議員となったが、東伏見宮の祭祀を継承するため、昭和6年（1931年）4月に願いにより「東伏見」の家名を賜い、華族に列せられ、伯爵を授けられた。同時に貴族院議員たるの身分を失う。

東伏見邦英伯爵となった後、臣籍降下した年には、仏教の美術関係の書物として、『宝雲抄』（民友社）を刊行した。 『宝雲抄』は、大正13年（1924年）4月の春休みに奈良に行ったときの印象や感想を学習院輔仁会雑誌に「奈良より」と題して投稿したのをきっかけに、4年間掲載されたものを、一つの本にしたものである。また、近衛秀麿指揮の新交響楽団でハイドンの協奏曲のピアノの録音演奏を行った。これは、ハイドンの協奏曲としては世界初の録音である。

その後、京都の青蓮院門跡の門主となって東伏見慈洽と号し、長らく門主の地位にあったが、平成16年（2004年）2月に青蓮院の執事長であった次男の慈晃にその地位を譲った。現在は、京都仏教会会長・青連院門跡名誉門主である。