曹候補士
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
曹候補士（そうこうほし）とは、陸海空自衛隊において、将来、曹（下士官）になるために訓練される曹候補者たる士のことである。
各自衛隊での部隊勤務を経て中堅陸・海・空曹としての必要な技能や知識などの資質を修得するとともに陸・海・空曹候補士として部隊勤務においての必要な知識や技能を修得する。
目次 |
[編集] 制度趣旨
それまで、幹部自衛官を除く一般的な自衛官の募集は、任期制隊員たる2士（2等陸士・2等海士・2等空士）の採用と、非任期制隊員たる一般曹候補学生（昭和50年度発足）の採用のみであった。一般曹候補学生は、採用後2年で基本的に3曹（3等陸曹・3等海曹・3等空曹）に昇任してしまうため、採用しうる人員数は限られることとなるし、また士としての継続的な部隊勤務は期待できない。他方、任期制2士採用では曹への昇任の門戸が狭く任期が来て離職する場合が多かった。
そこで、非任期制として離職率を低減させつつ、士としての部隊勤務をある程度長期間行いつつ、将来的に3曹への昇任を保証して身分の安定を図る制度が求められるに至った。そこで、平成2年に発足したのが、この「曹候補士」制度である。
ただし、非任期制としたことは、隊員の身分安定に資する反面、一般の任期制2士採用隊員と異なり、任期満了に伴う満期金支給(退職金)がないので、隊員側にとってはデメリットとなる（国にとっては予算削減となる）。
[編集] 人事運用
採用後は、陸・海・空曹候補士として教育、部隊配置が行われ、部隊勤務を通じ、各種技術等の教育訓練を受ける。採用後3年目以降は、選抜により3曹に昇任することができる（中には十年近く選抜されない人もいる）。主に前線での部隊指揮を行う。3曹に昇任後、実務経験4年で幹部候補生部内選抜試験の受験資格が得られる。
2士（6月）、1士（6月）、士長（2年3月以上で3曹へ選抜）となる。
曹候補士は、「陸曹候補者き章（乙）」、「海曹候補者き章（乙）」又は「空曹候補者き章（乙）」を通常の制服に着用する。曹候補者き章（乙）は、金色の桜花を浮き彫りにした金属製のものであって、円型の台地をつけたものである。
[編集] 受験資格
- 入隊の時点で18歳以上27歳未満の男女。
