明保野亭事件
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明保野亭事件（あけぼのていじけん）は、幕末の京都におけるテロリスト捕縛活動においての誤報に起因する土佐藩士傷害・切腹と、それに伴う会津藩士自刃事件である。
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[編集] 事件の経緯
元治元年6月10日（1864年7月13日）に、幕府の命により池田屋事件の残党の捕縛を命じられた新選組が、同日に東山の料亭・明保野（あけぼの、曙とも）に長州系浪士が潜伏するとの情報を得た。武田観柳斎率いる新選組隊士15名と、前日より応援として派遣されていた会津藩士20名のうち5名が共に捕縛に向かった。現場で会津藩家中の柴司が、座敷にいた武士を制止しようとしたところ相手が逃げ出したため、取り押えようと追跡のうえ槍で傷を負わせた。直後に相手が浪士ではなく土佐藩士麻田時太郎（時次郎、とする説もある）と判明したため、その場で解放した。
[編集] 事後の経緯
当初、柴の行為に問題無しとして念のため会津藩から医師と謝罪の使者を送り、これに対し土佐藩側も最初に名乗らなかった麻田にも落ち度があると理解を示していたものの、翌6月11日に麻田が「士道不覚悟」として藩により切腹させられてしまったことにより若手土佐藩士たちが「片手落ち」だと激昂し、会津・土佐の外交関係に亀裂が入りかねない事態へと発展した。が、6月12日に柴司自らが望んで謝罪の意で切腹をし、両者の関係に亀裂が入らずに円満に解決した。
[編集] 事件の背景と意味
当時、土佐藩は藩主山内容堂のもと公武合体を支持しており、会津藩と良好な関係を保っていた。しかしながら土佐はまた、土佐勤王党など倒幕を目論む勢力もはらんでおり、そんな中で起きた傷害事件はまさに両藩の関係に水を差すものであった。本来であれば柴司は純粋に職務を遂行しただけであったが、こうした中で自ら犠牲となることで両者の関係悪化を食い止めた功績は大きい。
武家社会、加えて変革の時代のはざ間にあって起きた、不幸で悲しい事件であった。
[編集] 明保野亭について
この事件の舞台となった明保野亭は当時、他にも多く見られた様に料亭と旅宿を兼ねており、倒幕の志士による密議にも多く利用されていたことが事件の背景にあったと考えられる。また、土佐の坂本龍馬の常宿の1つと言われている。なお、明保野亭は現在も東山区清水三年坂（産寧坂）に石碑と共に店舗が現存するが、当時は現在よりもやや北東位置にあったとされている。
