新共同訳聖書
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新共同訳聖書(しんきょうどうやくせいしょ)とは、聖書の日本語訳の一つ。1987年に初版が刊行された。
20世紀以降、近代以降のエキュメニズム(教会一致運動)の流れに沿って、それまで異なる聖書を用いてきたカトリック教会とプロテスタント諸派が世界各国で共同して聖書の翻訳に取り組んだ。日本でもこの流れを受けて超教派のメンバーからなる翻訳委員会が結成され、まず1978年に共同訳聖書(新約のみ)を世に問うた。しかし、共同訳聖書は「イエスス」「パウロス」などの独自の原音に忠実な人名表記や、翻訳が意訳すぎて従来親しまれた言葉が消えてしまったなどのために評判がよくなく、あまり受け入れられなかったため、新たな共同訳聖書の翻訳が行われた。これが新共同訳聖書である。
新共同訳聖書は旧約聖書と新約聖書全巻の翻訳であり、教派によって扱いの分かれる書物(第二正典、Deuterocanonical books)も「旧約聖書続編」という名称で収録している。翻訳は当然、原語から行われているが、底本は旧約聖書(ヘブライ語)がドイツ聖書協会発行の校訂本文ビブリア・ヘブライカ・シュトゥットガルテンシア、新約聖書(ギリシア語)が聖書協会世界連盟のギリシア語新約聖書修正第三版(ネストレ・アーラント第26版)である。
翻訳委員会のメンバーには現代日本を代表する聖書学者、プロテスタント、カトリック教会の神学者など多くのメンバーが名を連ねた。日本ハリストス正教会の学者も翻訳委員会に参加しているが、教義解釈の違いから最終的なメンバーには名前を残していない。
新共同訳聖書は日本聖書協会から出版されており、現代口語による翻訳というだけでなく、多くの教会での典礼や礼拝に用いるための聖書を目指したことから、いろいろな教派の翻訳慣行を取り入れている。その結果、従来の聖書翻訳にはなかった独特な語法もみられるが、現代の日本ではもっともよく読まれ、用いられる聖書となっている。
カトリック教会、日本キリスト教団、ルーテル教会諸派など多くの教派で主要な聖書として用いられ、典礼や礼拝の場で広く使われている。
[編集] 関連項目
新共同訳聖書の正式英語名は,The Bible, The New Interconfessional Translationである。