抵当証券
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
抵当証券(ていとうしょうけん)とは、抵当証券法に基づいて不動産に対する抵当権を小口の証券とし、一般投資家が購入できるようにした有価証券を言う。
その歴史は古く、1931年(昭和6年)には同法の施行に伴い、抵当権を付けた債権の販売が開始された。現在の購入単位は50万円ないしは100万円、運用期間は半年~5年程度である。現在では原券は原則として、財団法人抵当証券保管機構が保管することが定められおり、投資家は代金と引き換えに抵当証券の発行元からその代替となる取引証(元利を保証するためのモーゲージ証書)と、保管機構からの保管証を受け取る事になる。発行会社は半年後に投資者へ利金を支払い、満期時に元本を返還することになる。なお銀行や証券会社などが販売窓口となることもあるが、預金保険や投資者保護基金の保護の対象とはならない。
元利金は原則として、抵当証券の発行会社が保証する(広義の債券。有価証券取引法では「抵当証券法上の有価証券」と定義される)。そのため抵当権の価値に元本が左右される事は無いが、発行会社が倒産した時は元本が戻ってこない危険性(リスク)も有する。現に北海道拓殖銀行や山一證券などが経営破綻した際、同社の子会社が発行し、それらの金融機関が「預金代わり」として販売していた抵当証券の元利保証が、発行会社の連鎖破綻により無くなって(元利の支払が事実上停止した)、訴訟にまで発展したことがある。よって、購入の際には発行元の経営状況を確認する必要がある。
なお大和都市管財(被害額約1100億円、2001年発覚)のように、抵当証券の販売による金融犯罪事件も発生している。