悪
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悪(あく)とは、文化や宗教によって定義が異なるものの、概ね人道に外れた行いや、それに関連する有害なものを指す概念である。平安末期から現れた「悪党」に見られるように、「悪」という言葉は剽悍さや力強さを表す言葉としても使われ、否定的な意味のみではない事にも留意する必要がある。例えば源義朝の長男・義平はその勇猛さから「悪源太」と称されている。
[編集] 善と悪
悪は善と対比される概念である。人間が善悪を意識、判断する場面は様々だが、家庭での躾から、教育、スポーツ、法律など、秩序を必要とするあらゆる場面で見出せる。生活に即したものとして宗教で、娯楽や伝承として物語の上で取り上げられる事も多い。その際は、善をすすめ悪を除外する事(勧善懲悪)、善と悪との対決などがしばしば注目される。
善と悪は解釈や判断によって入れ替わる場合もあるため、人間は善であり、かつ悪であるという両立した存在であると見なす事が出来る。規則(ルール)や規範という形で存在するものは、このような混乱を避けるためによく用いられる手段である。
[編集] 宗教と悪
宗教上の悪や、それに基づいて禁止されている事柄(タブー)は、その始祖や開祖に関するものや、それが発達した文化圏における生活規範をモチーフにしたものなどがある。例えば、キリスト教では七つの大罪が有名であるし、イスラム教、ユダヤ教では戒律の存在によってそれぞれにおける悪の存在を遠ざけているともいえる。