広汎性発達障害
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広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい、pervasive developmental disorders , PDD)には下記のようなものが含まれる。なお、知的障害の無い、もしくは軽いものは高機能広汎性発達障害と呼ばれ、軽度発達障害に分類される。
- 小児自閉症
- 3歳以前に発症する発達異常・障害で、1. 相互的社会的関係の障害、2. コミュニケーション障害、3. 関心・活動のレパートリーの著しい制限・常同性、の3つを特徴とする。てんかんなどの脳波異常や脳室拡大が合併する事もある。
- 難治性ではあるが進行性ではなく、一患者に於いては発達が見られる。約1,000人に1人で男:女=4:1。人種による差はない。
- 聴覚障害と鑑別しなければならない。聴覚障害や癲癇(てんかん)は脳波を取ることで客観的に検査できる。治療は、コミュニケーションを促す療育的対応を基本として、個別一過性の症状には対症的な薬物療法を行う。薬物療法は、自傷行為に対して向精神薬を用いる等する。
- 予後は、社会の受け入れ態勢の整備と共に徐々に改善してきており、幼児期にIQが高かったり、意味を持つ言葉の発達が良好であったりその消失がなければ、予後は比較的良い。完治しないが悪化せず、年齢とともに症状は軽減する。
- 非定型自閉症
- 3歳以降に発症し、小児自閉症の3つの症状が揃わない、など定型的でない自閉症。
- レット症候群
- 広汎性発達障害の最重症型。乳児期~2歳頃から目的ある手の動作や会話をできなくなる。手を洗うような常同運動をつづけ、噛む運動もできなくなる。児童期には体幹失調・脊椎変形・舞踏病様運動・てんかん発作が現れ、進行性に運動機能が崩壊する。精神遅滞は重度。女児のみに発症。
- アスペルガー症候群
- 広汎性発達障害では軽症の型。言語・認知的発達の遅滞はない点で、小児自閉症から区別される。
- 特定不能の広汎性発達障害
- 広汎性発達障害の一種。