封仙娘娘追宝録
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封仙娘娘追宝録 | |
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小説 | |
著者 | ろくごまるに |
イラスト | ひさいちよしき |
出版社 | 富士見書房 |
掲載誌 | 月刊ドラゴンマガジン |
レーベル | 富士見ファンタジア文庫 |
巻数 | 本編13巻 短編5巻 以下続刊 |
話数 | 9話 |
封仙娘娘追宝録(ふうせんにゃんにゃんついほうろく)とは、富士見ファンタジア文庫から出版されているライトノベル。作者はろくごまるに。
宝具(ぱおぺい)と呼ばれる、神秘の道具を追い求めて旅をする和穂と殷雷を主人公にした中華風ファンタジーである。
目次 |
[編集] あらすじ
仙人の世界に住む道士の和穂は、仙人になるための昇格試験を受け、見事合格した。しかし、仙人になったのもつかの間、和穂は不注意から爆発を伴う大事故を起こし、師匠である龍華がかつて生み出した欠陥宝具の封印を解いてしまう。
封印されていた欠陥宝具には、単に欠陥を持つだけではなく、危険性のある物も含まれていた。封印されていた数は、七百二十七にものぼる。
欠陥宝具たちは再び封印されることを恐れ、仙人の手の届かない場所、すなわち人間の世界に逃走を図り成功した。もはや、対処しようがないという事で和穂はお咎め無しとなったが、責任感の強い和穂はその処分に納得いかなかった。
「私が人間界に行って、全ての宝具を回収します」
和穂の懇願を聞き入れた仙人達は、さらなる人間界に混乱を招きかねない和穂の仙術を全て封じた上で、回収に必要な最低限の宝具を持たせて人間界へと送ることとした。
しかし、欠陥宝具の中には、新米仙人の失敗に付け込んで逃亡を図ることを良しとしない者がいた。刀の宝具、殷雷刀である。殷雷は和穂を心配する龍華達に頼まれ、和穂の護衛として共に人間界へと渡る事となる。
[編集] 世界観
- 宝具(ぱおぺい)
- 人間には決して生み出せない、仙人によって作られた神秘的な道具の数々。
- その能力もさることながら、人の形に変形できる物も存在する。また、変形できなくても意志を持つ物もおり、性差もある。
- 名前は、基本的に二つの文字の後にその宝具の種類を示す文字を付けるという形式である。刀なら○○刀、鏡なら■■鏡、徳利なら△△器など。なお、人間に変形できる宝具は通常、前の二文字だけで呼ばれる(例として、殷雷は殷雷刀と呼ばれず単に殷雷と呼ばれる)。
- 宝具によって個人差があるが、道具であるが故に道具としての業(誰かに使って欲しいという願望)がある。
- 仙界
- 文字通り、仙人が住む世界。人間界とは殆ど接点が無いが、たまに混じり合う事がある。
- 仙界に渡るためには、その混じり合う原理、即ち天地の理を理解する事が必要である。そのような理解をなし得る人間は、もはや人間界の人間というよりは仙界の住人に近い。
- ただし、和穂はまったくの偶然でその混じり合う時期に遭遇し、龍華に拾われることになる。
- 龍や鳳凰など、想像上の生物も暮らしている。
- 人間界
- 人間の暮らしている世界。いわゆる中華風の世界観だが、どのような国なのかは明言されていない。
- ただし、作中にて三国志時代の話らしき記述が僅かに出てくる。それによれば、宝具の大量流出によって、規模は不明だがかなりの歴史の改変があったらしい(劉備や関羽、張飛と思われる者たちが死んでいる)。
- 戦がかなり頻繁に発生しているらしい。
- 宝具の存在は、単なるおとぎ話の類と思われていたが、宝具の流出がその質を変えることとなる。
- 仙術
- 仙人が使う術。
- 手で印を組んだり、呪文を唱えることによって発動する。ただし、具体的な呪文は作中にほぼ出てこない。
- いくつかの宝具は、仙術を使う能力を持っている場合もある。
- 仙骨が必要だが、仙骨を封じられると使用できない。和穂は、仙骨を封じられることによって術が使えなくなった。記憶は失われないが、「意味のある形」や「意味のある言葉」が思い出せなくなった。
- ちなみに、仙術的に必要な力が莫大になるため治癒の術は存在しない。
[編集] 本編と短編
本編の他、一話完結型の短編集も存在する。和穂たちが行っていることは、どちらも宝具の回収である(短編集は、龍華などが主人公のいわゆる番外編的なものもある)。
ただし、本編と短編は基本的に独立した話であり、作者のろくごまるにも主要人物・宝具(和穂や殷雷、断縁獄や索具輪)以外は短編に登場した宝具が本編に登場したりといった事はしないとあとがきで述べている。しかし、本編最新刊「刃を砕く復讐者(下)」では短編で既に遭遇・回収した深霜刀や導果筆が登場しており、ファンの間で議論を呼んでいる(パラレルワールドなどの説があるが、作者からは明らかにされていない)。
- 本編
- 宝具の回収を行いながら旅をする和穂たちの活躍を書いている。基本的に連続した話なので、以前に回収した人物や宝具が再度登場することもある。基本的に、シリアスな展開が多い。
- 短編(奮闘編)
- 本編と同じく目的は宝具の回収だが、いくつかの例外を除いて一話完結型。たまに番外編のような物もある。
- 月刊ドラゴンマガジンにて掲載された短編を集めた物。単行本の最後では書き下ろしが含まれており、殷雷がなんらかの形で和穂と行動を共に出来なくなり、それまでの短編で登場した宝具が和穂をサポートする、というのが基本である。
- 一話完結型なので、それほど話は大事にならず基本的にほのぼのとした形で話は進む。
- 本編とは独立した話だが、短編に登場した深霜刀や導果筆が本編にも出たことからファンの間で議論を呼んでいる。
- ただし、本編と短編はやはり連続した内容では無いのは確かなようである。両方とも和穂が深霜刀の事を知らず、殷雷が説明するシーンが存在する(もし、本編と短編が連続しているなら、本編と短編どちらか一方の和穂は深霜の事を知らないはずが無く、従って説明を求めるシーンも有り得ない)。
[編集] 主要な登場人物
- 和穂(かずほ)
- 本作の主人公。年の頃は十五、六の娘。とある不注意から大事故を起こしてしまい、宝具をばらまいた張本人。仙人であったが、現在は一切の術を封印された「元仙人」。
- 本来なら処分されずに済んだのだが、責任感が強いために自ら宝具回収を志願した。
- 人間界の九遥山に捨てられたところ、たまたま仙界と入り混じったときに龍華に拾われたという経緯で仙界に来た。
- 本来、仙人とは長い修行の末になるものだが、和穂の場合はその経歴のため赤子の時から龍華に修行を受け、見た目通りの若い年齢で仙人となる。
- 心優しく、気だても良い素直な少女であるが、師匠譲りの非常に頑固な一面もあり殷雷と意見が対立することもある。
- 物心付いた時から仙界で暮らしているため、人間界の常識を知らない一面もある。
- 龍華(りゅうか)
- 仙人で、和穂の師匠。
- 和穂を我が子のように厳しく育てた。和穂には、親として師匠として慕われている。
- 見た目は二十歳過ぎの女性。豪快な性格であり、きらびやかな装飾を散りばめた真紅の道服を着ているが、その装飾品を凌駕する美貌の持ち主。
- 欠陥宝具の創造主であるが、封印されていたことと、龍華の癖のある性格からか欠陥宝具の殆どは龍華を嫌っている。
- ただし、欠陥宝具を破壊せずに敢えて封印に留めたのは彼女なりの考えがあるかららしい。
- 護玄(ごげん)
- 仙人で、龍華の友人。
- 見た目はどこにでもいそうな普通の青年で、服もたいして飾り気のない白い道服と龍華と対照的である。
- 何かと龍華に振り回される苦労人。
- 和穂が欠陥宝具を解放してしまった時に居合わせ、事故から和穂は守りきったがそのために本人は大怪我を負ったため、事故の結果起こった欠陥宝具の逃亡の阻止は不可能だった。
- 作中の会話などから、元は人ではないらしいが正体が何なのかは明らかになっていない。
- 夜主(やしゅ)
- 女の盗賊。元は単なる盗賊だったが、宝具を手に入れてからはその魅力に取り付かれ、宝具専門の盗賊となる。
- 恐ろしいまでの精神力の持ち主であり、武器の宝具である殷雷が五日ほどしか耐えられなかった精神攻撃でさえ、十日も耐えた。殷雷は、その精神力を仙人並みと評した。
- 顔・仕草などが龍華に酷似しており、和穂でさえ本人に否定されてなおも龍華本人だと疑ったほどだが、捜魂環によれば魂の音がまったく違うらしく別人である。
- 昔の記憶がないらしいが、本人はあまり気にしていない。
- 李乱(りらん)
- 本名は、柳李乱となる。
- 非常に優秀な職人の一族の出身であり、自身も相当な腕の持ち主。
- ざっくばらんな性格であり、諦めないことを知らない性格は和穂に通じるところがある。
- 泥の中に閉じ込められた村から、村人と共に脱出するために奮闘していた所に和穂たちがやってきた。
- 村長代理に惚れていて、その好意を隠すことなく表している。
- 村長代理(張良:ちょうりょう)
- 泥に埋もれた村の村長代理を任された旅の男。
- 判断力に優れており、沈着冷静に的確な指示を出す。本人は、この手の仕事は向いていないと言っているが、その仕事ぶりは性格である。
- あまり口数は多くなく、正体不明であるが村人からは信頼されている。
[編集] 主要な登場宝具
- 殷雷刀(いんらいとう)
- 刀の宝具。
- 新米仙人(和穂)の失敗に付け込んで逃亡することが嫌で、さらに七百二十七の内の一つだけとはいえ逃亡しない宝具があれば和穂の処分も多少は軽くなるのではと考え、欠陥宝具の中で唯一逃亡しなかった。
- このように、武器なのに「情に脆い」所があり、それが欠陥と判断されて封印された。
- 悪ぶった言動を取っているが、基本的にお人好し。特に動物や病気をネタにした人情話にとことん弱く、聞かされると涙を流すほど。
- 武器の宝具らしく、武芸百般に通じている。ただし、武器の宝具の中では最強ではなく彼より強い宝具は大勢いる。
- 現在は、和穂の護衛として人間界に渡っている。和穂を子供扱いしてはからかっているが、和穂をとても大切に守っている。
- 何故かやたら食い意地が張っており、「包丁の宝具」と言われて落ち込む場面がある。
- 四界獄(しかいごく)
- ひょうたんの宝具。内部には莫大な空間が広がっており、あらゆる物を収められる。
- 人間に変化は出来ないが、意志は持っている。非常に礼儀正しい性格をしており、護玄などは「どうして四界獄はお前(龍華)が作ったのに、お前よりも礼儀正しいんだ」と言われるほど。
- 索具輪(さくぐりん)
- 宝具回収のために渡された、耳飾りの宝具。精神を集中することで、人間界に存在する宝具の全ての位置を知ることが出来る。
- 意志は持たない。
- ある時から原因不明の不調に悩まされており、正確な位置を把握できないこともしばしばある。不調の時は、宝具の存在自体が判ってもその範囲を絞り込めない。
- 索具輪が渡されたとき、「使い方によっては危険な宝具」と言われた宝具だが、何が危険なのか不明である。
- 断縁獄(だんえんごく)
- 宝具回収のために渡された、宝貝を保管するひょうたんの宝貝。意志は持たない。
- 内部には莫大な空間が広がっており、ここに七百二十七の宝具を収めたとき、和穂は仙界に帰れる。また、水や食料を収めることも可能であり、それらは腐ることもない。また、安全装置として内部での暴力沙汰は防がれる。回収した宝具同士が争っても、傷つけ合う事態は防げる。
- 機能としては、四界獄と同様である。
- とある出来事によって内部が病原菌に汚染されたため、人間が入ることは出来なくなった。ただし、指定した物以外は吐き出さないため、水や食料などはそのまま収めることは可能である。
- 捜魂環(そうこんかん)
- 封印されていた欠陥宝具の一つで、指輪の宝具。人を探し出すための宝具である。人の魂の音色を聞き分けることで、人を探す。
- 人には化けられないが、意志を持って言葉を話す。
- 欠陥は、一度見知った者でなければ居場所を探れない事である。本来であれば、見知らぬ者も捜索可能であった。
- ただし、一度見知った者であれば宝具の居場所も察知可能である。これは、制作者の龍華も予期しなかった機能である。宝具が制作者の意図さえも超える神秘であることを示す一例である。
- 恵潤刀(けいじゅんとう)
- 封印されていた欠陥宝具の一つ。刀の宝具。
- 人間に変化することが出来る。その姿は、殷雷と同じ年頃の女性である。
- 殷雷とはほぼ同時期に作られた、いわば兄弟のような刀。殷雷の性格も熟知している。
- 気配を沈め、相手に何も感じられない霧のような感覚を与えることが可能。
- 静嵐刀(せいらんとう)
- 欠陥宝具の一つで、殷雷刀、恵潤刀とほぼ同時期に作られた刀の宝具。他に、同時期に作られた刀としては深霜刀(しんそうとう)がいる。
- これらはまとめて四本刀と呼ばれており、それぞれ違う製法で似たような性能の宝具を作る研究の過程で生み出されたらしい。
- 武器の宝具だが、そうとはとても思えないほどぼんやりとした性格をしている。
- 言わなくていいことを言わせたら天下一品であり、よく殷雷に小突かれている。
[編集] こぼれ話
- 作者のろくごまるには1巻のあとがきで、小学生の時に水滸伝の「洪信が伏魔殿の扉を開け、そのために封印されていた百八の魔星が地に降り立った」という物語冒頭の説明を聞き、洪信が百八の魔星を捕まえる話だと何の疑問もなく思ったという。全く違う話だということは後に知ったが、自分の勘違いした「捕まえる話」の方が面白そうだ、と思ったのが切っ掛けで、この話が生まれたという。
- ちなみに「水滸伝を材料にして水滸伝より面白くなかったら料理人の腕が悪いことになる。うぬぬ、墓穴を掘ったか」という事も書いている。このような、テンポ良く裏話などを書く作者のあとがきもこの作品の人気の一部となっている。
- 元々は「大始末記」というタイトルだったが、判りづらいと言うことで編集部に現在のタイトルを付けて貰ったらしい。
[編集] 既刊タイトル一覧
[編集] 長編
- 天を騒がす落とし物(1995年8月) ISBN 4829126418
- 嵐を招く道士たち(1996年2月) ISBN 4829126701
- 泥を操るいくじなし(1996年9月) ISBN 4829127007
- 夢をまどわす頑固者(1997年1月) ISBN 4829127317
- 黒い炎の挑戦者(1997年6月) ISBN 4829127473
- 憎みきれない好敵手(1998年3月) ISBN 4829128062
- 闇をあざむく龍の影(1998年8月) ISBN 482912833X
- 刃を砕く復讐者(上)(1999年11月) ISBN 4829129077
- 刃を砕く復讐者(下)(2005年11月) ISBN 4829117591
[編集] 短編集(奮闘編)
- くちづけよりも熱い拳(1997年10月) ISBN 4829127732
- 切れる女に手を出すな(1998年10月) ISBN 482912847X
- 名誉を越えた闘い(2000年7月) ISBN 4829129778
- 夢の涯(2002年6月) ISBN 4829114363
- 最後の宝貝(2006年2月) ISBN 4829117966
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 未完の作品 | ライトノベル | 富士見ファンタジア文庫