対象関係論
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対象関係論(たいしょうかんけいろん)は精神分析的精神医学の一種である。フロイトの弟子であったメラニー・クラインらが考えた方法が基になり発展した。
フロイトの精神分析においては治療は無意識やリビドー(性欲)の抑圧などに主眼をおき、治療者がそれに解釈を与えることによって治療が成り立つとしていた。対象関係論では対象関係が問題の中枢であり、治療者と被治療者の間に何が起こっているのかについて詳しくとらえる事が治療上重要とされている。
他の精神分析の学派と同様に、対象関係論は様々な批判を浴びることがある。 例えば、根拠とされている部分が後の研究で次々に間違いだと分かったこと(ただしこれは内科学など他の分野でもしばしば起こりうる)、治療の有効性に関する根拠が不十分であること、治療者は訓練の数年目に「教育分析」を受けるが、これを一種の宗教的な「イニシエーション」であるとみなし、精神分析(対象関係論)を宗教になぞらえるものなどである。詳しくは精神分析を参照。