寄宿舎
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寄宿舎(きしゅくしゃ)とは、相当数の労働者又は学生・生徒・児童などが宿泊し起居寝食をともにする施設である。
[編集] 労働法規における寄宿舎
使用者が労働者(従業員)に提供する寄宿舎(特にその事業に附属する場合)については、設備が劣悪であったり、労働者の私生活が侵害することがあることから、労働基準法第10章(第94条~第96条の3)と事業附属寄宿舎規程(昭和22年労働省令第7号)・建設業附属寄宿舎規程(昭和42年労働省令27号)が規制を加えている。
- <参考>
- 労働基準法第10章 寄宿舎
- 第94条第1項 使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない。
- 第2項 使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。
- 第95条第1項 事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、左の事項について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。これを変更した場合においても同様である。
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- 第1号 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
- 第2号 行事に関する事項
- 第3号 食事に関する事項
- 第4号 安全及び衛生に関する事項
- 第5号 建設物及び設備の管理に関する事項
- 第2項 使用者は、前項第1号乃至第4号の事項に関する規定の作成又は変更については、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
- 第3項 使用者は、第1項の規定により届出をなすについて、前項の同意を証明する書面を添附しなければならない。
- 第4項 使用者及び寄宿舎に寄宿する労働者は、寄宿舎規則を遵守しなければならない。
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- 第96条第1項 使用者は、事業の附属寄宿舎について、換気、採光、照明、保温、防湿、清潔、避難、定員の収容、就寝に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持に必要な措置を講じなければならない。
- 第2項 使用者が前項の規定によつて講ずべき措置の基準は、厚生労働省令で定める。
- 第96条の2 使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業、厚生労働省令で定める危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、前条の規定に基づいて発する厚生労働省令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、工事着手14日前までに、行政官庁に届け出なければならない。
- 第2項 行政官庁は、労働者の安全及び衛生に必要であると認める場合においては、工事の着手を差し止め、又は計画の変更を命ずることができる。
- 第96条の3 労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関し定められた基準に反する場合においては、行政官庁は、使用者に対して、その全部又は一部の使用の停止、変更その他必要な事項を命ずることができる。
- 第2項 前項の場合において行政官庁は、使用者に命じた事項について必要な事項を労働者に命ずることができる。
- 第94条第1項 使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない。
- 労働基準法第10章 寄宿舎
[編集] 学校における寄宿舎
学校における寄宿舎は、学校との通学距離が長い場合や重度又は重複障害をもている場合などで通学が困難な場合に学校に附属して設置されることがある。特に、特殊教育諸学校(盲学校・聾学校・養護学校)において、重度又は重複障害をもている生徒・児童で通学が困難な生徒・児童のために置かれるものを寄宿舎と呼ぶことが多い。