大逃亡
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『大逃亡』(だいとうぼう)は1974年集英社別冊マーガレット1・2月号に掲載された和田慎二の漫画。
[編集] あらすじ
江木麻里亜(マリア)は両親を失い、叔母一家に引き取られて生活していた。祖父の遺言でマリアに財産が渡ることを妬んだ叔母一家の虐待に耐えながらも健気に生きるマリア。だがある日、従兄にレイプされそうになったマリアはとっさに相手を刺してしまい、ろくな裁判も行われないままに少年院に放り込まれてしまった。少年院でも執拗ないじめにあうマリアは食事を盗られ、無理やり刺青まで入れられる。しかし、大人しく素直なままで生き残れるほど世界は甘くないと思い知った彼女は、次第に頭角を現し、少年院のボス・黒バラのマリアとして恐れられるほどになる。そしてついにマリアは仲間たちとともに脱走を試みる。沼保護司に硫酸の瓶を投げつけてまで……(以後の作品で沼重三の顔に痣があるのはそのため)。
脱走したマリアはさっそく恋人の元に向かうが、彼はマリアを陥れた従姉と婚約していた。ショックを受けるマリア。このときから叔母一家に対するマリアの復讐が始まる。一方その頃、叔母一家は遺言を書き換えるために祖父の実印を探していた。実印は、質流れの挙句再びマリアの手に渡った小刀の柄に隠されていたが、マリアはそれを知る由もなかった。山に逃げたマリアは、孤児を引き取って世話している教会にたどり着き、神父たちの機転によって追跡の手を逃れることができた。子供たちに「マリア・ママ」と慕われ、初めは戸惑いを隠せなかったマリアも、病弱な少女・律子との交流を通して次第に心を開いていく。しかし、マリアを追っていた沼保護司は足を滑らせて崖から転落、一命は取り留めたが記憶喪失になってしまった。
そうして数年が過ぎたある日、マリアと律子は資産家のパーティーに招かれる。そこで律子に恋人が出来たことを知り、マリアと神父は祝福するが、その光景を従兄・従姉が見ていた。マリアが生きていることを知った叔母一家は、マリアの過去を子供たちに暴露すると脅して呼び出すことに成功する。ちょうどその頃沼保護司も記憶を取り戻し、マリアたちの元へとたどり着く。三者三様の思惑が交錯する中、突如として爆発事故が起こる。叔母一家はついに実印を手に入れるが、倒壊する建物の中に閉じ込められてしまった。脱出したマリアは沼保護司を助けようと手を差し出したが、爆風を受けて大怪我を負ってしまう……
数日後、マリアは安らかな表情で数奇な人生に幕を下ろした。以後、マリアの墓に毎年花を供える沼保護司の姿があった。彼もまた、かつて教会で育てられた孤児だったとか……
*和田慎二によると、作品の時系列は「大逃亡」→「超少女明日香(学校編)」→「スケバン刑事」。
[編集] 概要
収録作品:
- 『大逃亡』(1974年別冊マーガレット1・2月号)
- 『バラ屋敷の謎』(1972年別冊マーガレット12月号)
- 『オレンジは血の匂い』(1974年別冊マーガレット12月号)
- 『快盗アマリリス」(1973年別冊マーガレット11月号)
- あとがき メイキング オブ「大逃亡」(描きおろし)