地域通貨
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地域通貨(ちいきつうか)とは、法定貨幣ではないが、あるコミュニティー内などで、法定貨幣と同等の価値あるいは全く異なる価値があるものとして使用される貨幣である。社会的に地域通貨がコミュニティー内で流通している例や、割引券のような役割を果たす地域通貨制度など、地域通貨の経済的効力は、地域通貨運動を行っているコミュニティーごとに異なる。
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[編集] 地域通貨の名称
- 地域通貨
- LETS
- 特に英語圏や北欧・オランダではLETSという具体的なシステム名で呼ばれていることが多い(フランスではSEL、ドイツではTauschring、オーストリアではTauschkreisとなる)。
- Local money
- カナダのトロントダラーや米国イサカアワーなどで呼ばれている。具体的な紙幣としての呼び方。
- Parallel currency
- Complementary currency
- 「補完通貨」。「マネー崩壊」の著者ベルナルド・リエターが提唱。現在の法定通貨は競争・富の集中などを促進する「陽通貨」であるとし、陽通貨では達成しにくいソーシャル・キャピタルの形成や協同社会の建設には「陰通貨」を補完通貨として利用することが大切である、という理論。
- Trueque
- 日本語訳で「交換市」。アルゼンチンで呼ばれる名称で、日本の地域通貨運動に相当する。この運動では一時期数百万人が、生活を支えていた。
[編集] 地域通貨の事例
- LETS
- Local Exchange Trading Systemの略。1980年代にカナダ西部・バンクーバー近郊のCommox Valleyでマイケル・リントンによって開始される。中央銀行が発行する法定通貨は全国くまなく流通するため、炭鉱の閉山などによって地場産業が無くなると地域内での物やサービスをするにもその道具である法定通貨が不足するという事態が発生するが、LETSではせめて地域内で生産できる物やサービスに関しては地域独自の交換手段を用いることによって自給自足を高めようとしている。現在カナダの他、英国や豪州・NZや欧州各国などに広がる。なお、フランスではSEL(Système d’Echange Local)、ドイツではTauschring、オーストリアではTauschkreisと呼ばれる。
- REGIO
- 交換クラブ
- アルゼンチンで1995年に生まれる。元々は日本のフリマのような形で行われていたが、現金収入に乏しい人たちの生活向上の手段として急速に発達、一時期は600万(総人口の6分の1)とも推測される人たちが利用した。ただ、最大の勢力であったRGTの崩壊などによって現在では動きが非常に小さなものになっている。
- タイムダラー
- 米国の弁護士エドガー・カーンが創始。米国の貧民層などの相互扶助の手段として普及。地域への奉仕活動を取引対象とするため、その清算単位として非常に単純な時間を利用している。日本では愛媛県関前村の「だんだん」が同様の事例として有名。また、タイムダラーとは直接の関係はないが、さわやか福祉財団のふれあい切符やボランティア労力銀行などの試みもシステム的には同じであるといえる。なお、イタリアでもBanca del Tempoという名称で同システムの運動が広まった。
- WIR銀行
- スイスで中小企業向けの協同組合として運営されている銀行。中小企業同士の取引のための清算道具としてWIRを、スイスフランと等価のものとして融資している。
[編集] 地域通貨の流通性について
地域通貨は通常、法定貨幣とは兌換(だかん)できない為、経済的に流通しにくい。 しかしながら、地域通貨の流通性を高めるために様々な意見が上げられている。
[編集] マイナス利子
地域通貨の話題になるとマイナス利子がよく話題になるが、これはシルビオ・ゲゼルが提唱した「減価する貨幣」のことである(ちなみに、英語ではdemurrageという表現が一般的に使われる)。これは通貨そのものの価値を時間とともに減らしてゆく(正確に言うと一定期間ごとに額面の一部に相当するスタンプを購入して貼らないと価値が維持できないようにする)ものであり、現在の通貨の機能のうち価値保存機能を奪うことで通貨の流通速度を高めたり、投資の際の貸出利率を大幅に引き下げたり(理論的にはマイナス利率での貸出も可能となる)することで経済活動を活性化させようというものである。
日本銀行などの中央銀行ではなく、NPOなど、その地域通貨を必要とする団体が発行する。
[編集] 最近の国際的な動向
"The Future of Money"(日本語訳「マネー崩壊」、日本経済評論者)の著者であるベルナルド・リエターが創設したアクセス財団や、"The Inflation and Interest-free money"の著者であるマルグリット・ケネディらが創設したMONNETA、また国際的な連帯経済のネットワークであるアライアンス21内の運動である社会的通貨ワークショップなどが、世界各地に散らばっている実践者や研究者などを結んだ国際的なネットワークを生み出しつつある。
また、関連の国際会議も最近は開催されるようになっている。シューマッハー協会が2004年6月に米国ニューヨーク州で開催した21世紀の地域通貨や、マルグリット・ケネディらが2004年7月にドイツで開催した欧州補完通貨会議などで、数多くの異なった事例が紹介されている。
日本でも地域通貨関連の会議は各地で開催されているが、国際的な連携というよりも国内での事例紹介が主目的となっている。