土佐弁
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土佐弁（とさべん）は高知市をはじめ、高知県の中部・東部で使用される方言。四国方言のひとつ。
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[編集] 表現
京阪式アクセントを使用することをはじめ、地理的には遠い割に、関西地方の言葉の影響が強い。一方、「（す）る」が「（し）ゆう」、「（し）ている」が「（し）ちゅう」などに短縮・拗音化することや、「～だから」が「～（や）き」、疑問文の語尾に「～が?」をつける、女性が語尾に「～ぞね」をつけるなど、独特な言葉も多い。
劇で描かれる坂本龍馬はたびたび土佐弁を話しているが、その中で彼がしょっちゅう用いる「～ぜよ」は今はそんなに使われていないようだ。
なお土佐弁では、英語のような完了アスペクトが存在し、語尾を変化させることで進行アスペクトと使い分けることができる。
現在進行アスペクトの例：
- （土佐弁）「雨が降りゆう」
- （標準語）「雨が降っている（今も降り続いている）」
- （英語）"It is raining."
現在完了アスペクトの例：
- （土佐弁）「雨が降っちゅう」
- （標準語）「雨が降っていた（今は止んでいる）」
- （英語）"It has rained."
「（し）よった」ならば過去進行アスペクト、「（し）ちょった」ならば過去完了アスペクトとなる。完了アスペクトが明示できるというのは西日本方言によくある特徴といえる。
また古い言葉や言い回しが残っているのが特徴か。古文の学習はネイティブにとってはやさしい。
古い言葉の例： 「 おどろく ＞ 目が覚める」
- （土佐弁）「おとろしい夢を見たきに夜中におどろいたがよ。」
- （標準語）「恐ろしい夢を見たので夜中に目が覚めたのよ。」
推量： 「～かあらむ」
- （土佐弁）「あの店はラーメン屋に変わったにかわらん。」
- （標準語）「あの店はラーメン屋に変わったらしい。」
否定： 「 え～せず」 関西弁でも同じ。
- （土佐弁）「むつかしゅうてようせん。」
- （標準語）「難しいのでできない」
[編集] 用語
- 代名詞等
*おら(男の一人称 話者は高齢者、最近はあまり使わない。) (使用例)おらんくの池には潮吹く鯨がおよぎよる。(よさこい節)
(標準語)私の家の池には潮吹く鯨が泳いでいる。
*わし(男の一人称)
(使用例)わしくの子は、川へあいをおさえにいったぞね。
(標準語)私の子供は、川へ鮎を捕りに行きましたよ。
*僕らぁー(男の一人称 複数でも単数でも使用、最近はこれが一番多いか)
(使用例)僕らぁーは、山へいたずり採りにいっちょった。
(標準語)ぼくは、山へいたどりを採りにいっていました。
*あて(女の一人称 、最近はあまり使わない。話者は高齢者)
(使用例)あてらぁーの時は、きぃーの値がしよったきに仕事があったぜ。
(標準語)私たちの時代は、木の値段が高かったので仕事がありましたよ。
*うち(女の一人称)
(使用例)うちくのたぁーは、年がいてよう作らんきに、いのす植えたぞね。
(標準語)私の家の田んぼは、高齢になって耕作できないので、柚子を植えましたよ。
*おまん(男女二人称)
(使用例)おまんらーご飯食べー。
(標準語)君たちご飯を食べなさい。
*おんし(男の二人称)
(使用例)おんしゃー何しよりゃー。(非難の気持ちがある)
(標準語)おまえは、何をしているのか。
*おとやん(おとうさん)
*おかやん(おかあさん)
*おんちゃん(おじさん)
*おばちゃん(おばさん)
*じんま(じじい)
*ばんば(ばばあ)
- 「～です」＝「～ちゃ」
- ｢（体調）大丈夫ですか｣｢融通が利かない｣＝｢能が悪い｣
[編集] 使用例
南野陽子主演のテレビドラマ『スケバン刑事』で主人公『麻宮サキ』が使っていたので有名。
漫画『うる星やつら』の主人公『ラム』が使用していた言葉の元となったことで有名。
氷室冴子の小説「海がきこえる」ではほぼ全編にわたって土佐弁が話されている。
映画『鬼龍院花子の生涯」』で主役 夏目雅子が「なめたらいかんぜよ～」と言っている。「いかんぜよ～」であり、「あかんぜよ～」ではない。
青柳裕介の漫画『土佐の一本釣り』は、土佐久礼(中土佐町)が舞台。
『死国』は、映画、小説ともに全編でにわたって土佐弁が話されている（映画版では一部伊予弁が混じる）
[編集] 関連
- なお、土佐弁の使いまわし等については、高知新聞社刊、「土佐弁さんぽ」に詳しい。
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