固有結界
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固有結界(こゆうけっかい)は、TYPE-MOONの各種作品(『月姫』『MELTY BLOOD』『Fate/stay night』)に登場する架空の世界、及びそれを作り出す架空の能力で『空想具現化』の亜種とされる。元は悪魔と呼ばれる種族の固有能力で「異界創造法」だったが、現在は使用者の心象世界を実体化する魔術へと変遷している。現実の世界にも影響を及ぼすことが可能な大禁呪であり、"魔法に最も近い魔術"と称される。魔術師にとって一つの到達点でもある。結界の発動・維持に多大な魔力を要する上に、これを異物として排除しようとする現実世界からの強烈な修正を受けるため、結界が持続する時間は厳しく制限される。
使用者は作品中でも限られており、以下に列挙する人物しか使えない。
厳密な意味での「人間」は衛宮士郎のみである(『MELTY BLOOD』シリーズでは翡翠が偽固有結界を使用。空の境界に出てきた荒耶の小川マンションも一種の擬似的な固有結界のようなもの)。
他の人物については死徒の項目を参照。死徒の扱う固有結界は魔術ではなく、本人の能力であることもある。
また、転じて主にゲームやアニメでの個人の超人的な能力や、本人のペースに巻き込めば絶対に相手を手玉に取れるパターンを固有結界と称することがある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 空の境界
- 荒耶宗蓮
- 奉納殿六十四層
- 小川マンションの結界名。固有結界を持たない荒耶が人工的に作り上げた彼の心象世界の具現といえる。いわゆる空間遮断という魔法域の結界。この中では「抑止」すら入り込めない(もし臙条巴を衝き動かしたものが肉親への情ではなく、抑止だというのならその限りではないが)。
- 荒耶が死の運命を繰り返させて観察するために作った異界。本来の用途は両儀式をとらえ、その後は世界を含む何者にも知られないようにするための閉じた世界。内部は荒耶の体内に等しく、圧倒的に荒耶が有利であり、この敷地内ならば荒耶は瞬間移動も可能。さらに次元の狭間に繋げることもできる。
- 内部は複雑な構造で心理を惑わせ、本来の住人たちの死体の部屋と人形たちの部屋を入れ替えている。内装は魔術的なものが多用されており、黒桐幹也がそれに反応して吐き気を催した。陽に当たる東棟の1~5号室には住人たちの生活を、陰に当たる西棟の6~10号室には住人たちの死体を配置してある。地下には住人たちの脳が置かれており、それぞれに対応した人形たちを動かしている。
[編集] 月姫
- ネロ・カオス
- 獣王の巣(じゅうおう の す)
- 666匹の獣(生物)の因子を混濁させた混沌の世界。術者であるネロ自身の肉体でもある(これにより世界から異物として修正を受けることを免れている)。体内のこの因子を獣として解き放ち、使い魔として使用するが、その形状は現界する瞬間に決定するため、ネロ本人も予測できない。獣はネロと同意であり・体の一部でもあるため、ネロの体内に戻せば、また混沌として復活する。つまり666の命を持っているのと同じであり、殺すには666回殺さねばならず、混沌という性質上、世界を一つ滅ぼすに等しいという。理屈の上では不死身に等しい能力だが、大量の混沌を体内に取り込んだために、ネロ・カオス本来の人格は薄れており、数百年後には混沌の渦となっていた模様。
- ミハイル・ロア・バルダムヨォン
- 過負荷(オーバーロード)
- 作中で詳細は語られず。魔力を一時的に増大させる過給器としての役割を果たす。
[編集] MELTY BLOOD
- ズェピア・エルトナム・オベローン(通称:ワラキアの夜、タタリ)
- 正式名称不明(通称:術者と同じく「タタリ」)
- 条件を満たした土地に根付いた、ある程度限定されたコミュニティー内に広がる噂や不安をもとに、恐怖の対象となるイメージを具現させ、身の毛のよだつような怪現象を引き起こす固有結界。結界内部では都市伝説が現実となり、まるでホラー映画やスプラッター映画さながらの惨劇が起こる。その時その時に広まっている噂をもとに発生するため、一定のかたちを持たない(人々が血を吸われて殺されるという点だけは共通している)。結界は街全体を呑み込んで悪夢の世界に閉じこめ、一夜のうちに殲滅する。術者であるズェピアは既に肉体と人格とを失っており、この結界の影響によって発生する現象そのものが現在の「彼」である。結界はズェピアが消滅前に遺した起動式に従い、条件に合った候補地においてすべての条件がそろった時、自動的に発動する。
- 弓塚さつき
- 枯渇庭園(こかつ ていえん)
- 美しい庭園が広がる世界。しかし、しだいに空は赤く、地面は乾いた土へと変貌、何もかもが枯れ果てて見る影もなくなっていく。
- 結界内の魔力(マナ)を枯渇させる(影響が自身にも及ぶかは不明)。空間から魔力を捻出して魔術を用いる者や生存に魔力を必要とする存在(精霊など)にとっては致命的である。吸い上げられた魔力はさつきには還元されず霧散する。
- 翡翠
- ぐるぐる翡翠ワールド(ぐるぐるひすいわーるど)
- ピンク色の渦巻きや誤字の入った言葉が行き交う世界。
- 自分(或いはタッグを組んでいる時の琥珀も)を除く結界内の生物を混乱させる、或いは洗脳するものと思われる(ゲーム内ではレバーの方向が逆になる)。
- 偽固有結界。タタリの影響で使用可能になったものと思われる。元ネタは「お部屋をお連れします」等の翡翠の台詞関係の誤字。「洗脳探偵」という名称の場合もある。
[編集] Fate/stay night
- 衛宮士郎/アーチャー
- Unlimited Blade Works(アンリミテッド ブレイド ワークス/無限の剣製)
- 地平線まで見渡す限り広がる、赤く錆びた荒野の丘、そこに数えきれぬほどの剣が突き立つ世界。そのさまは、さながら無数の墓標である。現実世界との境界では炎が壁のように吹き上がっている。ここまでは士郎もアーチャーも同じだが、両者の固有結界の違いは空に現れている。アーチャーの場合、赤黒く曇った空に巨大な歯車がいくつも浮かび、互いに噛み合って回転している。また、いずこからか吹き上がった火の粉が宙を舞っている。対して士郎の場合には、薄い雲のかかった夕焼けの空が広がるだけであり、歯車も火の粉もない。この相違点はそれぞれの心象世界つまり心理的違いからくる結果(同様の理由からくる違いは詠唱呪文にもみられる。英文・本文共にアーチャーは悲観的に対し士郎は肯定的である)だが、両者は本来同一人物であるので、結界自体の能力は同じである。
- 内部にあらゆる武具を構成する因子を満たしており、術者が目視しただけで瞬時に武具(主に剣)を複製し、記憶する。武具の複製と同時に、その武具を扱うための技術までも複製するため、初めて扱う武具であろうと自在に使いこなすことが可能。ただし、宝具を複製した場合にはそのランクは1つ下がる。また、防具を複製するためには通常の2~3倍の魔力を消費する。
- 衛宮士郎が扱う"強化"や"投影"といった魔術、また彼の様々な"特技"はすべて、この結界から零れ落ちた「劣化物」、二次的に派生した副産物でしかない。すなわち、彼の"投影"は本来の投影魔術とは本質的に全く異なる、別の過程からくる結果ということであり、本来の投影ならあり得ないことをやってのけるのはそのため。
- アーチャーは守護者として世界側に立つ存在であるせいか、その固有結界にはペナルティが無いと説明されているがそのペナルティとは何なのかは不明(暴走等の欠点が複数あるため)。
[編集] 未公開作品
- 朱い月のブリュンスタッド
- 名称・詳細については不明。自らがいずれガイアかアラヤに滅ぼされる身であることを予見した朱い月が、自身のスペアとすべく、深層意識に「朱い月」という行動理念を埋め込んだ存在、「真祖」を生成するため世界に残した固有結界とされている。
- ORT(オルト)
- 水晶渓谷
- 他の固有結界と違い、侵食固有結界と呼ばれる。ORTが存在するだけで無条件に周囲をその故郷と同じ環境へ変化させ、物理法則の改竄、異界秩序への転換をもたらすもの。「世界」そのものを侵略するORTの能力の発現したかたち。
- フィナ=ブラド・スヴェルテン
- パレード
- 詳細については不明だが、幽霊船団の二つ名を持つとされている。死徒27祖14位であるヴァン・フェムのゴーレムの一体を攻め落とした。
- グランスルグ・ブラックモア
- ネバーモア
- 詳細については不明だが、死んだ者にだけ影響を及ぼす、絶対無明の死の世界と表現されている。物理的なダメージを与えることなく、血を流させることもなく、ただ「死徒を殲滅する」だけの固有結界。
- この固有結界でグランスルグは前16位の派閥を滅ぼし、自身が16位に収まった。
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