司書講習
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司書講習(ししょこうしゅう)とは、大学(短期大学)または高等専門学校を卒業した者に司書となる資格を付与する講習のことである。図書館法(昭和25年法律第118号)の第6条などに定めがある「司書の講習」のことである。
[編集] 科目
(図書館法施行規則 および 生涯学習審議会社会教育分科会 「社会教育主事、学芸員及び司書の養成、研修等の改善方策について」 平成8年4月24日 より)
科目名・単位数 | ねらい | 内容 |
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必修科目 | ||
生涯学習概論 〔1単位〕 |
生涯学習及び社会教育の本質について理解を図る。 |
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図書館概論 〔2単位〕 |
図書館の意義、図書館の種類、図書館の機能・課題・動向、図書館政策、関係法規、図書館と類縁機関等との関係について解説する。 |
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図書館経営論 〔1単位〕 |
生涯学習社会における図書館という視点を重視して、図書館経営にかかわる組織、管理・運営、各種計画について解説する。 |
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図書館サービス論 〔2単位〕 |
利用者と直接関わる図書館サービスの意義、特質、方法について解説するとともに各種サービスの特質を明らかにする。 |
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情報サービス概説 〔2単位〕 |
図書館における情報サービスの意義を明らかにし、レファレンスサービス、情報検索サービス等について総合的に解説する。 |
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レファレンスサービス演習 〔1単位〕 |
参考図書その他の情報源の利用や作成、レファレンス質問の回答処理の演習を通して、実践的な能力の養成を図る。 |
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情報検索演習 〔1単位〕 |
データベースの検索の演習を通して、実践的な能力の養成を図る。 |
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図書館資料論 〔2単位〕 |
図書館資料全般の特質を論じ、その出版と流通、選択、選書ツール、保存管理について解説する。新しいメディアの特質やその利用等についても触れる。 |
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専門資料論 〔1単位〕 |
人文科学、社会科学、自然科学・技術の各分野における知識の構造と資料との関係についての理解を図るために、それぞれの分野の資料の特性とその分野を代表する資料について解説する。 |
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資料組織概説 〔2単位〕 |
資料組織の意義・目的と方法、図書館資料の組織化について解説し、併せてコンピュータ目録について言及する。 |
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資料組織演習 〔2単位〕 |
資料組織の演習を通して、実践的な能力の養成を図る。 |
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児童サービス論 〔1単位〕 |
児童を対象とする各種のサービス、児童室の運営、児童図書等について総合的に解説する。併せてヤングアダルトサービスについても解説する。 |
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必修科目小計18単位 | ||
選択科目 | ||
図書及び図書館史 〔1単位〕 |
図書の形態、印刷、普及、流通等に関し歴史的に概説し、併せて図書館の歴史的発展について解説する。 | |
資料特論 〔1単位〕 |
郷土資料、行政資料、視聴覚資料などの各種資料の特質を論じ、その生産と流通、評価、選択・収集、利用等について解説する。 | |
コミュニケーション論 〔1単位〕 |
インターパーソナルなコミュニケーションを中心に、現代におけるコミュニケーションの特性とその概要について解説する。 | |
情報機器論 〔1単位〕 |
各種情報機器の機能、種類、利用等について解説する。 | |
図書館特論 〔1単位〕 |
図書館における今日的な諸課題について取り上げ解説する。 | |
選択科目小計2単位 | ||
合計 20単位 |
[編集] 関連項目
夏季に大学で集中して行われる司書講習は、現職の図書館職員向けのものとされているため 単位認定が甘く、「暇と講習代さえ揃えば取得できる資格」と揶揄されることがある。 現役大学生の受講が増えている。大学生は受講終了しても大学卒業しないと資格は有効でない。
また、講習実施大学の図書館設備その他図書館情報学教育設備・環境が優れているかと言うと 必ずしもそうではなく、ただ単に学校のPRとして受託しているかのような大学もあるとされる。 ある大学では、夏休み中の講習日程変更の伝達が、講習担当教授らの間でしっかりなされず、 それが事務方にも伝わっていなかった為、一部の講義が断絶してしまうトラブルがあった。 このトラブルで、仕事や大学の試験を休んで司書講習を部分受講しに来た受講者が、自分の履修した 教科を一切受講できないという事態になり、この学校の司書講習の評判は地に堕ちた。
最近は、明治大学も参入した。関東では他に聖徳大学、亜細亜大学、鶴見大学、聖学院大学、筑波大学にある。 学生や主婦など女性の受講者が圧倒的に多い。 司書資格を取得したからといって、図書館で必ずしも働ける可能性があるわけではないことを学校側はあまり明記しない。 設置目的当初から時代が変遷して、司書講習を廃止する議論も一部である。