医業
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医業(いぎょう)とは、反復継続して行う意志を持って、業務として、医行為を行うことをいう。
ここでいう「医行為」の意味については、内容が多岐に渡るのみならず医学の進歩に伴い内容が変化するものでもあるため、定義自体に混乱・争いがある。また、医療行為の侵襲性についての解釈にも見解の対立がある。ここでは、
の対立を上げておく。
医業については、医師法の第17条に「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定されており、医師(医師免許を持つ者)以外が行なうことを禁止している。
これに対して、歯科医師法の第17条に「歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。 」と規定されている歯科医業があるが、医業と歯科医業が重複することもある。(重複している部分は、医師、歯科医師ともに医療行為を行ってもよい。)
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[編集] 介護と医業
1990年代後半から、介護福祉士が慢性疾患の患者に対して業務上の介護をするとき、どこまでが医業の範囲として禁止され、どこからが介護の範囲として認められるのかという議論がある。
この議論は、家族が筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 患者に対して気管内吸引を行い続けることが大きな負担であったため、行われるようになった。気管内吸引については医業とされ、以前は、介護福祉士の業務として認められていなかった。結局、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 患者に対する気管内吸引は、2003年(平成15年)7月17日に出された、厚生労働省医政局長から各都道府県知事への通知「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(医政発第0717001号)によって、介護福祉士にも認められることになった。
2004年10月21日、厚生労働省は盲学校・聾学校・養護学校の教員による重い障害をもつ児童への「たん吸引」、「経管栄養」、「導尿」について一定の条件下で認める通達を出した。
しかし、ほかの疾患では認められておらず、医業の範囲を示すことによる根本的な解決はされていない。これは、医師法によって、医師以外が医業を行うことを禁止しているにもかかわらず、医業の範囲がまったく示されていないことに起因している。
[編集] 歯科医業との重複範囲
医業と歯科医業の関係については、1949年(昭和24年)1月21日に出された、厚生省医務局長から各都道府県知事あての通知「医師法第17条による医業の範囲に関する件」(医発第61号)で述べられている。それによると「医師法第17条の「医業」と歯科医師法第十七条の「歯科医業」との関係に関し若干疑義があるようであるが、抜歯、齲蝕の治療(充填の技術に属する行為を除く)歯肉疾患の治療、歯髄炎の治療等、所謂口腔外科に属する行為は、歯科医行為であると同時に医行為でもあり、従ってこれを業とすることは、医師法第17条に掲げる「医業」に該当するので、医師であれば、右の行為を当然なし得るものと解される」とされている。
しかし、昭和24年当時と現在では治療技術や学問的な体系のずれが生じており、口腔外科に属する行為がどの範疇であるかは議論を要する。例えるならば、歯髄炎の治療は口腔外科では行なわず、純然たる歯科医業の範疇に入っている反面、悪性腫瘍の頚部郭清術や口腔外組織の有茎皮弁移植を行なっている現状がある。
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