前衛写真

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前衛写真（ぜんえいしゃしん）とは、一般的に、前衛的な写真の事である。

ただ、日本の写真史においては、1920年代から1930年代にかけての新興写真の勃興を受けて発生した、1930年代後半から1940年代初頭にかけての、戦前の前衛的な写真表現を意味する事が多い。

この意味での前衛写真は、シュルレアリスムや抽象絵画（抽象美術）の影響を大きく受けて、成立している。具体的な写真家としては、「浪華写真倶楽部」の小石清を嚆矢として、「丹平写真倶楽部」の天野龍一、上田備山など、「アヴァンギャルド造影集団」の平井輝七、花和銀吾（はなわぎんご、1894年-1957年）、樽井芳雄、本庄光郎など、「ナゴヤ・フォト・アヴァンガルド」の坂田稔、田島二男、山本悍右、後藤敬一郎など、「ソシエテ・イルフ」の高橋渡、久野久、許斐儀一郎、吉崎一人など、「前衛写真協会」の永田一脩、今井滋（いまいしげる、1910年-1991年）、阿部展也（あべのぶや、1913年-1971年）など、その他瑛九などが挙げられる。

技術的には、フォトモンタージュ、フォトグラム（フォトデッサン、オートグラム）、ソラリゼーション、「ブレ」、クローズアップなどの技法を用いる事が多い。

太平洋戦争の開始とそれに伴う写真表現に対する強力な統制（前衛的な美術は不穏である、等）に伴い、この時期の前衛写真は極めて短命に終わった。そのため、この時期の前衛写真が戦後の写真表現へと直接接続する事はなく、ある程度の時期を経た｢再評価｣を待つ事になる。

[編集] 関連項目

• 日本近代写真の成立と展開（上記記事中の各写真家の生没年を確認できる）
• 日本写真史