内閣総辞職
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内閣総辞職(ないかくそうじしょく)とは、内閣を構成する内閣総理大臣及び国務大臣の全員が、同時にその地位を辞することをいう。単に総辞職ともいう。
なお、大臣は辞任すると表現するのが一般的で、辞職すると言うことはない。総辞職という言葉は日本国憲法の条文に由来するが、一般的な用語ではない。
[編集] 概説
日本国憲法には、内閣総辞職すべき場合として、以下の二つを定める。
- 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない(日本国憲法第69条)。
- 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない(日本国憲法第70条)。
なお、この二つの場合以外にも、内閣は任意に総辞職することができる。
内閣総辞職と同時に当然その内閣の閣僚も全てその地位を辞することになるが、慣例として閣僚全員の辞表が提出される。かつて福田内閣において福田赳夫首相が自由民主党総裁選挙での敗北を理由に内閣総辞職をした時に中川一郎農水相が総辞職に異議を唱えて辞表を提出しなかった。福田が内閣法制局に見解を質したところ、内閣総理大臣の辞職が成立した時点で国務大臣も当然辞任する事になるとの見解を得たために、中川に対して強引に辞表提出を求めなかったと言う。
内閣が総辞職したときには、国会は、他のすべての案件に先立って、国会議員の中から内閣総理大臣を指名する(日本国憲法第67条1項)。
総辞職した内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで、引き続きその職務を行う(日本国憲法第71条)。この内閣のことを職務執行内閣という。