全国工業高等学校長協会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
社団法人 全国工業高等学校長協会(ぜんこくこうぎょうこうとうがっこうちょうきょうかい)は、工業科を設置する日本の国公立および私立高等学校の校長を正会員とする公益法人。日本の工業教育の研究および発展に寄与するために活動する団体である。1956年(昭和31年)3月12日に法人としての設立が認可された。略称は全工協会または全工協。英文名は、「The National Association of Principals of Technical Senior High Schools」。
目次 |
[編集] 概要
全工協会の会員は、日本全国の工業高等学校(工業高校)、工業科のある普通高校・職業高校や総合制高校などの校長で占められており、事実上は、全国の工業高校の最高組織となっている。ただし、社団法人であるために加入の法的拘束力はなく、工業科を設置していながら加入していない高校もある。
[編集] 沿革
- 1920年(大正9年) 大阪府立商品陳列所(現在の大阪府立貿易館)の協賛団体として「商工中心会」が創設される。全工協会では、これをもって協会の創立とする。商工中心会では工業教育に関する調査・研究が提唱され、これにより大阪の工業学校長との結びつきが生じ、さらに近畿全域に広がった。
- 1922年(大正11年) 大阪・京都・神戸・名古屋・横浜・東京の六大都市の工業学校長会が発足。
- 1923年(大正12年) 全国実業教育会(農業・工業・商業・水産業を含む)が発足。
- 1925年(大正14年) 全国実業学校長会を開催。商工中心会が工業学校用の教科書発行を決定。
- 1930年(昭和5年) 財団法人「工業教育振興会」を設立し、教科書発行を引き継ぎ、さらに事業を拡大する。
- 1937年(昭和12年) 工業教育振興会の事務所を東京市麹町区飯田町1丁目16番地(現在の東京都千代田区飯田橋2-8-1)に移転。
- 1947年(昭和22年) 全国工業学校長会議が、戦後はじめて開催され、以後は毎年開催することになる。
- 1956年(昭和31年)3月12日 社団法人「全国工業高等学校長協会」として設立が認可される。財団法人 工業教育振興会は解散された。
- 1968年(昭和43年)2月 法人事務所として「工業教育会館」を竣工。
- 1969年(昭和44年) 創立50周年式典を開催。
- 1979年(昭和54年)5月 創立60周年式典を開催(経団連ホール)。
- 1989年(平成元年)5月23日 創立70周年記念式典を開催(東條会館ホール)。麻生太郎文部政務次官らが来賓。
[編集] おもな事業
工業高校を後方支援および研究する立場として、次のような各種事業を行なっている。
[編集] 検定事業
以下のような各種検定試験の主催者となっている(国家資格を除く)。
- 基礎製図検定
- 機械製図検定
- パソコン利用技術検定
- グラフィック・デザイン検定
- CAD検定
- DTP検定
- リスニング英語検定
- 情報技術検定(平成16年度から文部科学省後援。)
- 計算技術検定(平成16年度から文部科学省後援。厚生労働省のYES-プログラム認定試験を兼ねる。)
このため、数多くの種類の検定対策問題集の発行も行っている。このほか、ものづくりコンテスト、技術・アイディアコンテスト、各種のロボット競技会(全国高等学校ロボット競技大会、全日本ロボット相撲大会、高校生ロボットアメリカンフットボール全国大会)、マイコンカーラリー、全国製図コンクールなどさまざまなコンテスト(競技会)の主催者にもなっており、工業高校生が参加する大会・検定などの多く、文部科学省検定済教科書以外の工業高校向けの副教材の出版物の一部は全工協発行のものが多い。
[編集] 顕彰事業
会員校の優秀な教職員・生徒の表彰を積極的に行っている。特に各種資格に点数を付け、その点数が一定の基準を満たした生徒はジュニアマイスター顕彰制度によって表彰される。
[編集] 国際化事業
会員校の生徒を対象に、国際化事業を行なっている。
[編集] 広報・刊行事業
機関誌として隔月刊の『工業教育』を刊行し、工業教育や会員校の現状について広報活動を行なっている。また、会員校の国家資格や各種検定の取得数などを詳細にまとめ、優秀な会員校は協会が発行する出版物によって積極的に公開している。
[編集] その他・評価
会員校で特別優秀な生徒を特定の大学へ進学させる特別推薦制度もあり、一定の成績を収めた生徒は高いレベルの教育を受けさせることを積極的に支援している。
しかし、一部就職口以外での評価は低く、それに類する専門教育機関での知名度も決して高いとはいえない。また、立場の弱い生徒に強制的に全工協の検定や出版物を買わせ、その結果安定した利益率確保となるために、閉鎖的だと揶揄される声も聞かれる。
[編集] 会員学校数
学校数の出典は、毎年度の『全国工業高等学校要覧』
- 平成11年度(1999年5月1日現在):657校(国公立548校、私立109校)
- 平成12年度(2000年5月1日現在):653校(国公立547校、私立106校)
- 平成13年度(2001年5月1日現在):653校(国公立553校、私立100校)
- 平成14年度(2002年5月1日現在):656校(国公立555校、私立101校)
- 平成17年度(2005年5月1日現在):651校(国公立554校、私立97校)
- 平成18年度(2006年5月1日現在):652校(国公立557校、私立95校)
[編集] 刊行物
- 『工業教育』(機関誌、隔月刊)
- 『全国工業高等学校要覧』(毎年度刊行、CD-ROM付)
[編集] 法人・事務所の所在地
[編集] 関連項目
- 工業高等学校
- 日本の工業高等学校一覧(全工協会会員校一覧)
- 日本工業教育経営研究会(工経研);工業科を設置する高校における学校経営向上の研究・実践を行なう。
- 日本工業技術教育学会([[1]]);工業技術教育の研究を推進し、その振興に寄与する。工経研の関連団体。
- 全国商業高等学校協会