光速エスパー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『光速エスパー』(こうそくエスパー)は、1967年8月1日から1968年1月23日まで日本テレビ系で全26話が放送された、宣弘社製作の特撮番組、および劇中に登場する主人公の通称。
目次 |
[編集] 概要
「エスパー」というタイトルだが、主人公は超能力者ではない(サブキャラである善悪の宇宙人たちは超能力を持っている)。自力で超人的な主人公が奇抜な扮装をしているのではなく、特徴的な装束そのものが能力を持っている、という「強化服」の概念を広めた先駆的な作品。その意味では、後のスーパー戦隊シリーズやメタルヒーローの源流の一つとも位置づけられる。また「中の人」はまったく普通の少年であることは、当時一層視聴者に親しみと憧れをかきたてた。
怪獣ブーム以降の作品にもかかわらず、巨大怪獣が登場するのではなく、劇中で起きるのは怪事件、怪現象である。特撮予算が割けなかったこと、エスパーが基本的に等身大ヒーローであることもあるが、スポンサーの意向もあり、当時としてはSFテイストをもった良質のプロットが多く投入され「科学時代に相応しい(当時のキャッチフレーズ)、科学が問題を解決する明るい未来の物語」に仕上がっている。
当初から家電メーカー東芝をスポンサーとして企画されており、主人公「東ヒカル」の命名は同社のイメージソングの一節「光る東芝」から採られている。作中にはご丁寧に芝光子というガールフレンドまで登場する。「サザエさん」に先行する東芝のマスコットキャラクターとして、全国の電気店のシャッターにイラストが描かれ、店頭に販促用のディスプレイ人形が設置された。また「エスパー」は同社の電動鉛筆削り器のペットネームとしても使用された。
メディア提携として、本放送時にはあさのりじが、再放送時には松本零士が雑誌連載を行った。松本版は仕事を受けるにあたって「好きにやらせてくれるなら」という条件を出したこともあり、全くのオリジナルストーリーになっており、後に主人公名が『宇宙戦艦ヤマト』に流用され、主人公の境遇は『銀河鉄道999』の星野鉄郎のキャラクター原型の一つとなった。この松本版も東芝オフィシャルなものとして扱われ、広告や系列電気店のシャッター図案も後期は松本のデザインしたキャラクターに差し替えられている。強化服と一体のフルフェイスヘルメットをかぶり、耳のアンテナがレシーバの中心を通っていない(パーマンのそれに類似)のがあさのりじのデザインしたキャラクター、ブーツとレシーバとショルダージェットが特徴的にディテールアップされウエストにベルトのある強化服、レシーバの中心軸と合ったアンテナをつけたジェット型のヘルメットをかぶり、極端なパースがつけられて左右の瞳の大きさが異なる絵が松本のデザインしたキャラクターである。
[編集] ストーリー
[編集] TV版
ごく普通の中学生、東ヒカルは、両親と共に気球の遊覧飛行を楽しんでいる際に墜落事故に遭ったが、全員奇跡的に一命を取りとめた。事故の真相は、ギロン星人に母星を滅ぼされ、地球にたどりついた善意の宇宙人エスパー星人の夫妻が気球に接触して起こしたもので、実は光の両親はその際に死亡しているが、エスパー星人の夫妻が光への贖罪の意味も込め光にも秘密で入れ替わり、以後、家族として生活している。そして、ギロン星人も地球にやってきたことを察知したエスパー星人らは、光波エネルギー研究所で強化服を開発中の朝川博士(ヒカルの叔父)に、ひらめきを模したテレパシーを送り、エスパー星の科学力を反映させてこれを完成させる。そして、強化服装着者に選ばれた光は「光速エスパー」として、小鳥型サポートロボット「チカ」を介して常に共にあるエスパー星人の母と共に、ギロン星人の地球侵略作戦である数々の怪事件を解決していく。
[編集] 松本漫画版
故郷バシウト星の政変により難民となった宇宙人の少年が地球にたどり着き、異端の科学者古代博士の養子となる。古代マモルと名乗ることになった少年は、博士の開発した強化服(バシウト星人の卓越した体力をもってしか着こなせない未完成な代物)を身につけ、「光速エスパー」として拡大政策をもって地球に侵攻してきたバシウト星人と戦う。本星で邪悪な政権打倒のためにレジスタンスとして戦う両親を想いながら。
[編集] スタッフ
- 製作:宣弘社プロダクション
- 制作:小林利雄
- 企画:松本美樹
- 原作、キャラクターデザイン:あさのりじ
- 監督:山田健、福原博、外山徹、石川義寛
- 脚本:山崎忠昭、伊上勝、田村多津夫、中西隆三、池田和雄
- 特撮監督:高橋勝
- 音楽:服部克久
- 主題歌:『光速エスパーの歌』(作詞:吉岡治/作曲:星一/歌:望月浩)
[編集] キャスト
- 東ヒカル/光速エスパー:三ツ木清隆
- 東正人(ヒカルの父):細川俊夫(注:作曲家の細川俊夫とは別人)
- 東静香(ヒカルの母):月丘千秋
- 朝川博士(光波エネルギー研究所の所長):宇佐美淳也
- 朝川光一/エスパー2号:出川淳
- 朝川光太郎(光一の父):綾川香
- チカ:桂玲子
- チカ(二代目):太田淑子
- ナレーター:小林修
[編集] 放送リスト
- エスパー誕生
- 大彗星M現わる
- 原子炉のカビ
- グローブモンスターの襲撃
- 金属をたべる宇宙植物
- 超生命フロスター
- ゆがんだ太陽
- ジュピター星の棘
- 地球をおおう虹
- 金星は地獄だ
- 宇宙マラブンタの来襲
- ウイルスの恐怖
- まぼろし円盤撃滅
- 宇宙からきた幽霊船
- エスパー2号誕生
- 月面基地応答なし
- 氷の星からきた男
- 宇宙人破壊部隊
- 超能力を持つ少女
- ラスター号出撃
- 脳波生物ザボール
- 気球よあがれ
- われら宇宙の仲間
- ノアの箱舟のゆくえ
- アストロ星の兄弟
- 宇宙の果てまで
カテゴリ: テレビ番組に関するスタブ | 日本テレビのテレビドラマ | 1967年のテレビドラマ | 1968年のテレビドラマ | 1960年代の特撮作品 | 特撮 | SF作品 | 漫画作品 こ | 松本零士