互換性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
互換性(ごかんせい)とは、組み合わせるべき複数の部品の間で、お互いに置き換えることができる性質。また、その性質の程度を指す。
なんらかの機関、団体によって標準化された部品は、それらの標準に従った部品について、標準の定める範囲内での互換性を有する。国際的な機関による標準化は、その標準を採用している国や地域でお互いに置き換え可能であるし、企業グループや企業間の団体による標準化は、それらの団体に加入している企業間、または、それらに準拠する場合、その標準の定める範囲において、お互いに置き換えを可能とする。
目次 |
[編集] 単位
単位の互換性について、広く普及している国際単位系を参照せよ。
[編集] 部品
さまざまな部品のうち、それぞれが定める標準規格に合致する場合、置き換えがあっても、適切に動作する。例えば、ネジの場合、「呼び径」(直径)、長さ、強度、素材の材質、形状など様々なものがあるが、規格ができているため、それらの要件を満たす範囲において、置き換えが可能(互換性がある)といえる。また、ネジ(部品)とドライバー(工具)の関係として、ネジの溝の形状とドライバーの形状が合わなければ、うまくネジに力を伝えられず、溝が欠けたり、より多くの労力が必要になる。
[編集] ソフトウェア
これらは、コンピュータで用いられるソフトウェアを部品としてみた場合にも、同様の関係が発生する。
ソフトウェアは、動作する環境について、比較的複雑な要件を求める。まず、使用されるハードウェアの種類、性能が適切であることが求められ、オペレーティングシステムやミドルウェアを介してハードウェアと間接的にやりとりする場合、それらの備える機能が適切である必要がある。これらをまとめて動作環境などと言われる。
ソフトウェアは、それ自体に細かな修正、改良が重ねられ、複数のヴァージョンが存在する場合が多く、それぞれのヴァージョンが要求する環境が異なる場合もある。また、ソフトウェアが使用する関連ファイル、作業用のファイルなどが、過去のヴァージョンで使用したものが新しいヴァージョンでは使用できない場合も稀に存在する。
このように、さまざまな観点で互換性のあるなしが複雑に入り組んでおり、互換性のない場合、動作に重要な影響を及ぼすため、互換性の程度が重要視されることがある。 また、同一のソフトウェアで多くの動作環境に対応することは困難なので、環境に対応するための変更部分を少なくし移植性を高める方法が多数存在する。
[編集] ゲームソフト
ゲームソフトについては、動作環境が、特定のハードウェアに限定されることが多く、同系列のハードウェア間の世代交代の際に、新しいハードで使用できるかどうかについて問われることが多い。互換性のない、まったく異なる環境にゲームソフトを持ち込む作業は、通常移植として区別される。
例えば、ゲームボーイの場合、初代のゲームボーイが1989年に誕生してから、後継機種のゲームボーイアドバンスが登場する2001年まで、およそ12年の期間があり、その間、ハードウェアの進化は目覚ましく変化しているが、ゲームボーイアドバンスでは、初代のゲームボーイ向けにつくられたソフトが使用でき、過去の機種に対する互換性を維持しているといえる。逆により多くの機能や高い性能を要求するゲームボーイアドバンス向けに作られたゲームソフトは、過去のゲームボーイで利用することができず、互換性がない状態にある。(ゲームボーイ#ハードウェアのバリエーションと互換性も参照)
一般的に、互換性が高いものほど、ゲームソフトの使い回しが容易になるため、使用者に歓迎される。ゲームボーイシリーズやPS、PS2では、互換性の高さが歓迎され比較的スムーズに移行を済ませた。一方ファミコンからスーパーファミコンへの移行では、カートリッジ形状を変更するなどして互換性のない状態に置かれたため、スーパーファミコン登場以後も、しばらくファミコン向けのゲームソフトが発売され続けるなど、ハードウェア転換の出足をくじく結果となった。