二胡
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二胡(にこ、中国語ではあるふー)は中国の伝統楽器。擦弦楽器の一種で、2本の弦を弓で弾く。琴筒はニシキヘビの皮で覆われている。 日本では、この楽器を胡弓と呼ぶ場合があるが、この呼称は誤用であり、胡弓は日本の伝統楽器であって、中国には胡弓と呼ばれる楽器はない。江戸時代にはすでに明清楽 (殊に清楽)の流行と共に二胡の原楽器である胡琴が演奏されていたが、きちんと「胡琴」と呼ばれ、胡弓とは区別されていた。しかし明治初期にはヴァイオリンをも胡弓と呼んだ例があり、「胡弓」が広義の意味で擦弦楽器の総称としても使われ、また明治から昭和前半にかけ胡弓が衰退して知名度が低下した結果、次第に混同されこのような誤用が起こったと考えられる。しかし、二胡と胡弓には直接のつながりがなく、まったく別の楽器であり、混同により問題も生じているので、二胡を胡弓と呼ぶべきではないと考える人もいる。
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[編集] 選び方
[編集] 皮の選別
元来定義的にニシキヘビの皮を使用するが、動物保護条約に絡み、近年来国際的に輸出入規制が強化されている関係から、昨今コスト的に安価な製品ではメーカーによって代用皮革、例えば羊・犬の皮や、人造皮革を用いることがあり、それらには通例蛇のうろこ模様がプリントされてもいるので、よく品質を確認する必要がある。 また、ニシキヘビの皮を使用してはいても、健康状態、雌雄の別、捕獲時期、各個体の皮のどこの部分を使うかによって品質に大きな開きがあるため、琴皮選択には素材の持ち味を活かす最適な加工技術に裏付けられた熟練した鑑識眼が求められる。
[編集] 良質な琴皮の完成後における視覚的特徴
- ウロコの形や大きさが均一であり、しっとりとしたうるおいがある。
- 色が鮮やかで、コントラストがはっきりしている。
- 自然な張りと光沢がある。
- 皮に適度な厚みがある。(光にかざして、光の透過度が低いほど厚いと判断する)
湿気の多い日本での使用は皮が緩み易いので、しっかり張られたものを意識的に選ぶと良いが、これも上記の特徴と同じくなにぶん抽象的表現ゆえ、判断に経験を要するところではある。
[編集] 木材料について
二胡の値段は主に使われる材料と製作工芸水準、製作者の水準(格)で決まる。しかし、価格が高いほどそれに比例して音が良くなると安易に理解してはならない。市場経済原則のもとではその商品自体の品質が一元的な価格決定要因とはされないからである。 具体的に材質の優劣となると、いくつかあげられる代表的材料のなかでも、「老紅木」は他の木材にくらべ木密度の具合が音響上優れているとされ、プロの演奏者は、木密度という観点から熟成が適度にすすんだ材料として、特に50~100年越しの経年老紅木材料で製作された二胡を愛用するケースがすくなくない。
しかしこうした材料の選別云々を重ねることから、たしかに傑作が得られる確度を高めることは出来るのであるが、楽器完成後は製作具合に影響されてどうしても楽器個体差の問題が生じる。したがってその都度完成品現物を手にとり、よく対話し、完成度を吟味する姿勢を持つようにしたい。
[編集] 音色で選ぶ
いろいろな二胡の音色にすでに耳慣れ、好みがはっきりしているのであれば、自分の耳で選ぶのが一番納得のゆく方法であろう。 購入後に微妙な雑音や木の歪み、各部の微細な破綻が気になってしまうケースもある。原則的に楽器現物を試奏し、気に入ったあとも、よく手にとり各部の仕上がり具合を丁寧に確認したい。 通販やその他の事情で試し弾きができない場合、プロ奏者等、専門家が音を鑑別した楽器を販売している所で購入するのも方法であろう。むろんこれは鑑定者の「良識」が前提となる話であり、これによっても購入に際し注意の必要がまったくなくなるわけではない。商業的都合を優先した説明の一方的な鵜呑みは禁物である。 普段から多くの二胡にふれる機会をつくり、生の音を聴き見識を深め、できることなら善き先達の師を得るならば、時間はかかってもいつか自分にとって満足のいく楽器との出会いが実現されよう。 古来器楽の愛好者にとって至高の楽器との出会いは憧憬、夢であり、そこで楽器は縁という旅路における道しるべまた得がたい友であった。 旅の幸運を!