中院流
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- 中院流(ちゅういんりゅう)は、真言宗(東密)の事相(じそう)の流派の一つ。明算(めいさん)(中院阿闍梨)(1021~1106)が派祖。小野流系の流派であり、高野山に伝わる事相の流派である。
- 高野山での代表的な事相の流派でもある。
- 明算は小野流の成尊より受伝の後、高野山定誉のもとに高野山の復興のために尽力した。高野山の中院(弘法大師御住坊)に住して、空海(弘法大師)より真然に相承(受け継がれた)された秘訣(修法の方法や修法に関する決まりごとなど)に精通していたため、多くの僧侶が事相などの修学のために明算のもとを訪れたという。
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[編集] 中院流の四度加行(しどけぎょう)
- 高野山内で伝法灌頂を受法する場合、中院流の次第をもとにした四度加行(しどけぎょう)を高野山にある高野山真言宗の寺院(高野山大学で行う場合の加行道場(大菩提院)などもある。また、高野山以外の地域に所在する高野山真言宗寺院で行う場合もある。)で行う。現在、中院流では、四度加行と併せて理趣経法(りしゅきょうぼう)加行を行うことが多い。なお、伝法灌頂は、ほとんど高野山内の寺院で行われる。
- 真言宗では四度加行は共通の名称だが、中院流以外の他の流派でも四度加行を行うが、行の内容や順序が違う場合がある。また、四度加行は真言宗の僧侶にとって必修であり、基本の修法である。また、四度加行を行うまでには、得度、受戒を経なければ行えない。
- 中院流の四度加行では、十八道(じゅうはちどう)・金剛界(こんごうかい)・胎蔵界(たいぞうかい)・不動法付護摩(ふどうほうつきごま)(護摩)の4つの段階があり、4つの段階それぞれに加行(けぎょう)・正行(しょうぎょう)がある。4つの段階を経て、伝法灌頂を受法する資格があたえれて、伝法灌頂檀に入檀して、伝法阿闍梨位を得られる。
[編集] 本尊
- 中院流と他の流派の違いを四度加行を例として挙げれば、十八道は、詳しくは十八道念誦次第(じゅはちどうねんじゅしだい)といい、18種類の印契・真言で構成されている。ここまでは他流でも同様であるが、そのときの本尊は、中院流で大日如来、三宝院流幸心方では如意輪観世音菩薩、伝法院流では、両部不二の大日如来である。
- なお、中院流の四度加行中の本尊の仕様を記せば、絵像で単独で描かれた金剛界大日如来を安置することになっている。単独の絵像がない場合は、金剛界曼荼羅を本尊する。また、絵像の金剛界大日如来と弘法大師像・高野四社明神(絵像)を併せて安置することになっている。
[編集] 過程
- 中院流の四度加行の過程を記せば、十八道の正行に入るためには、懺悔滅罪のための行として108編(もしくは21編)の礼拝(らいはい)をして、読経・真言念誦をする礼拝加行(加行)を行う。その後、十八道の正行に入り、(十八道を終えたたことになる)十八道の正行が、次の金剛界の加行となり、つぎに金剛界への正行に進み、金剛界の正行が、胎蔵界の加行となる。こうして加行・正行と繰り返して、不動法付護摩(護摩)の正行が終えるまで日数を決めて繰り返し行う。
- しかし、次第(四度加行や修法の方法などを記した書物)を読むだけでは、事相の習得は出来ない。次第に記されていない阿闍梨(師)の口伝(師から弟子への面授)が不可欠であり、この口伝に基づいた作法と次第の内容を行うことが事相を習得することであり、また、このことが事相の流派が多く分かれた理由でもある。
- 中院流では四度加行を最略加行(最短)で28日間行う。100日間行う場合もあり、日数を定めるようになってきている。以前は長期間にわたり行っていたが、後になり日数を定めるようになった。
- 四度加行は、一日に三座、初夜(午後7時)・後夜(午前4時)・日中(午前10時)行い、四度加行を中断した場合は最初からやりなおすことになっている。また、四度加行中は斎戒沐浴を行い、修法中にトイレに行って中座した場合は、直ちに水浴して身体を清浄にしてからでないと修法が行えないなど、厳格な規則がある。
[編集] 流派(事相)の伝授
- (真言宗で)他の流派の事相の伝授を受けるためには、必ず、事相の教えを乞(こ)う、阿闍梨(師)より灌頂許可を受けなければならない。
- 中院流四度加行を終えて、伝法灌頂を受けた後は、寺院などで行われる法会に使われる数多くの中院流の修法などの作法・習わしなど(葬儀に使われる引導法など)を学んで、中院流の一流伝授を受けた後、事相の研鑽のためにさらに、他の流派を数年の期間をかけて学んで、(僧侶によっては、寺院の寺務があるため、学び終えるまでの期間には個人差がある)他流の一流伝授を受ける僧侶も多い。また、他流派の自分が学びたい修法を選んで学ぶ(伝授される)場合もある。
- また、高野山内では中院流を教えている僧侶(寺院)がほとんどだが、中院流と他の流派を受け継いでいる僧侶(寺院)が高野山内にあり、希望する僧侶に他の流派を教えることもあるが、現在では、少なくなっているという。
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