三重鉄道シハ81形気動車
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シハ81形（-がた）は、三重鉄道（現在の近鉄内部線・八王子線の前身）が1941年11月に自社工場で既存の客車を改造した、40人乗り代燃動車である。
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[編集] 概要
1938年に中勢鉄道より譲受した2軸ボギー式木造客車のホハ11（旧大日本軌道伊勢支社ボコ1→中勢鉄道ハニ1（1911年梅鉢鉄工場製））に中古の自動車用ガソリンエンジンを装架、片方の車端に代燃装置を外付けしたものである。
同型車としてシハ82もホハ11の同型車であるホハ12~14のいずれかを種車として改造することが計画され、計画図も残されているが、こちらは1942・1943年の国鉄名松線開業に伴う中勢鉄道線の廃止で同線から正規の気動車が譲受されたためか、あるいは先行して改造された本形式の実用性が乏しいことが問題視されたのか、計画が中止あるいは改造後早々に客車に戻されたと見られている。
[編集] 車体
トラス棒で床下を補強された鋼製台枠に、シングルルーフの木造車体を載せた、当時としては一般的な構造の車体を備える。
但し、窓配置は特殊で、オリジナルの客車時代にd6D3あるいは3D6d（d：オープンデッキ（ベスティビュールあり）、D：荷物扉）であったものを、dを埋めて運転台とし、旧荷物室側妻面に台枠を延伸して代燃装置を設置したものである。
つまり、窓配置は16D3あるいは3D61となっており、客用扉は旧荷物扉である中央の1つのみで、乗務員の出入りもそこから行った。
[編集] 機関・変速機・逆転機
機関は中古品のシボレー1937年式ガソリンエンジン（出力37馬力）を装架、変速機もこれに付随してきた中古の自動車用が流用された。
しかし、車体寸法の関係から転車台に乗らない本形式は両運転台式とすることが気動車化改造の必須条件とされ、そのために必要となる逆転機を別途新製して装着してあった。
[編集] 台車
客車時代の菱枠台車（軸距1,050mm、車輪径610mm）を流用し、これに端梁を取り付け、そこに吊り掛け式に逆転機を装架した。
[編集] 運用状況
改造後、シハ31形などと共に内部・八王子線で運行されたが、只でさえ重い木造客車に非力な中古エンジンを装架し、更に代燃化したため、鹿化川の前後の勾配が満足に登れないなど問題が多かったが、他に代替手段がなかったため、三重交通成立後もそのまま使用され、ナ141形141に改番された。
しかし、1948年の全線電化完成で気動車は不要となり、収容力の小さな単端式の各車は全て廃車処分されたが、元々ボギー式客車で、しかも同型車が他に3両存在した本形式については元の客車への復元工事が実施され、サ321~323となっていた同型車の追番でサ324となった。その後、1964年の湯の山線改軌までに余剰となったが譲渡先はなく、そのまま廃車解体されている。
