ヴィーザル
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ヴィーザル(古ノルド語:Víðarr)は、北欧神話の神の一人。、英語読みではVidar(ヴィーダル)とも。その名は「森」、あるいは「広い場所」を意味している。 父はオーディン、母は巨人族のグリーズで彼女に与えられた強い靴を履いている。 トールと同等の力を持つとされるが、ヴィージと呼ばれる森で半ば隠遁生活を送る。 スノッリのエッダの詩語法では「寡黙なオージンの息子」と言われ、古エッダ『ロキの口論』においても黙々と酒をついでいる。 ラグナロクにおいてはオーディンを飲み込んだフェンリルを倒す活躍を見せるが諸説あり、「強い靴で下顎を踏みつけ、上顎をつかんで引き裂いた」「剣を心臓に突き刺した」などがある。
この「強い靴」は、人々が自分の靴を作る際、千切り取った爪先とかかとの部分の皮をつなぎ合わせて作った物で鉄のように固い、そのおかげでフェンリルの顎を踏みつけることができたと言う。
ヴァリとともにラグナロクを生き残り、新しい世界を見守る神の一柱となる。
語源的にインド神話の神ヴィシュヌと関連する、という説もある(ジョルジュ・デュメジルの説)。ヴィシュヌが世界を三歩で踏みつける神ならば、ヴィーザルは世界大のオオカミであるフェンリルの顎を踏みつける、というわけである。