ランボルギーニ・ガヤルド
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ランボルギーニ・ガヤルド(Lamborghini Gallardo)は、過去に存在したベビー・ランボルギーニのポストを継ぐモデルとして発表された。デザイナーはカウンタック以降、強力なパートナーシップを築いて来たマルチェロ・ガンディーニではなく、親会社であるアウディから出向したルーク・ドンカーヴォルケによって主導された。
ガヤルドという名称は、18世紀スペインの闘牛ブリーダー(飼育家)であるフランシスコ・ガヤルド(Francisco Gallardo)から取られている。
[編集] 機構・スタイル
ガヤルドは発表前、過去のベビー・ランボルギーニはV8エンジンを搭載したモデルで占められて来たので、ベールを脱ぐ瞬間まで大半のモータージャーナリストが、ライバルであるフェラーリ・360モデナと同等クラスの排気量(大体4リッター前後)を持ったV8エンジンを搭載したモデルと睨んでいたが、大勢の予想は大きく裏切られる格好となる。
ガヤルドは想像していた以上にパワフルで、凝ったメカを持ち、そして「ベビー」とは思えないヘビー級のスタイルを引っさげていた。
エンジンは、バンク角90°を持つ水冷V型10気筒エンジン。アルミ鋳造のエンジンブロックは、アウディのものをベースにしているといわれている。重心を下げるためにバンク角度を広く取っているが、等間隔燃焼を実現するためにクランクピンを18°オフセットし、仮想上の72°バンクを設定している。排気量は5リッターで、ちょうどリッター当たり100馬力を達成する500馬力を発生、非常にパワフルなパフォーマンスを誇っている。しかもこのエンジンは、ボア×ストロークが82・5㎜×92・8㎜という、かなりロングストロークの方向に寄ったものであるため、低回転のトルク特性に優れる特性を持っている。それでありながらレッドゾーンは8200回転から始まるので、相当なレベルのドライバリティとポテンシャルを秘めていると言える。
このエンジンをミドシップに搭載するが、これだけのパワーを持つエンジンだと二輪駆動では満足なトラクションを期待できず、不安定な車になりかねないので、トラクションを確保する手段として、4WDシステムを搭載することが決定された。ディアブロのように、エンジンを前後逆に配置し、トランスミッションを室内センタートンネルに食い込ませる芸当は採用されず、オーソドックスな形で配置されているこの4WDシステムは、エンジンとともに限界まで下げた状態で搭載されている(透視図を見るとフロアギリギリの位置)ため、低重心に一役買っている。複雑な制御で知られるアウディ製クワトロシステムではなく、シンプルなビスカスカップリング式センターデフを使用した、基本的にディアブロのそれに準じる基本構成となっている。
ボディは、ムルシエラゴでは採用されなかった、アルミ押し出し材によるスペースフレームで骨格を形成し、そこに同じくアルミのボディパネルを貼り付ける構造を持つ。このフレーム構造はアウディからの技術注入によって実現したもので、ホワイトボディの状態で250㎏と軽量に仕上げられている。車体重量は1430㎏と公称されていて、これはフェラーリ・360モデナと比較して100㎏以上重い値ではあるが、大きいエンジンに4WDシステムの重量増を加味すると、それほど極端に重くなっている訳ではない。 またガヤルドには、日常性を向上させる目的で、ランボルギーニ伝統ともなっているガルウイングドアは採用されず、通常の車と同じく横に開くタイプになっている。
[編集] 備考
- 新車価格は25万ドル(日本円で2750万円程度)だった。
- イタリア警察高速隊のパトカーとして2004年5月に採用されている。[1]