ラミア
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[編集] ギリシア神話のラミア
ラミア(ラミアー、Λαμία, Lamia)は、ギリシア神話に登場する人物、もしくは怪物。
海の神ポセイドンの息子ベロスとその母リビュエとの間の娘。元々はリビアの女王であったが、その美貌でゼウスに見初められた。結果、ゼウスの妻ヘラの怒りを買い、怪物に変えられてしまった。
ヘラの呪いはそれだけでは終わらず、子供を失った悲しみから常に逃れられないよう、眠りさえも奪われてしまった。ゼウスは彼女が休めるよう、目を取り外して眠れるようにしてやったが、子どもがいる他の母親を羨むあまり、ラミアは他人の子どもを食べるようになってしまった(他にも、生まれてきた子供を喰う呪いをかけられ、その後上半身が女性で下半身が蛇の怪物になったという話や、ヘラに子どもを殺されてしまい、哀しみのあまり怪物と化したという話もある)。
彼女は多くの場合、女性の頭と胸に、蛇の下半身を持つという姿で描かれるが、時には、男性として描かれたり、両性をもつ者として描かれることもある。人語は話せないが、代わりに美しい口笛を吹いて人を虜にする。
ジョン・ランプリエールは『ギリシア・ローマ事典』の中で、ラミアは、声は魅力的だが子供たちを殺す小さなアフリカの怪物ラミアイ(Lamiae)の原型になり、そしてそれが現在レムレス(Lemures)と呼ばれているものである、と主張した。
歴史上では、母親たちが子どもへの脅しに使うこともあり、子供が悪いことをすると「○○をするとラミアが来るよ。」と言う風に使われた。
名前は「貪欲」を意味するギリシア語のラミュロス(λαμυρός)からきていると言う説がある。同じ語源からレムレスがきているという説もあるが、確かではない。
ポセイドンの娘でシビュレの母であるラミアともしばしば混同される。また、ラテン語に入ってからは、女の吸血鬼を意味するようにもなった。
[編集] レイミア
ジョン・キーツは生前の1819年に出版した詩集『レイミア、イザベラ、聖アグネス祭前夜その他の詩集』に「レイミア」というラミアの伝説に基づく詩を書いた。これは、ロバート・バートンの『憂鬱の解剖学』の第3部第2節第1条第1題の逸話、ジョン・ランプリエールの『ギリシア・ローマ事典』(、ジョン・ポッターの『ギリシア古俗』)に基づいている。その内容は「レイミア(ラミア)と人間の恋物語(異類婚姻譚)である。
[編集] 蛇女伝説
ラミア伝説が東洋に伝来し中国の白蛇伝の基になったとの説が唱えられている。
参考文献:『蛇女の伝説』南條竹則、平凡社新書059、2000
[編集] ブルガリアのラミア
ブルガリアの民話にもラミアという怪物が登場する。こちらは、切っても切っても生えてくる複数の頭を持ち、人々(特に若い女性)の血液を栄養源としている謎の怪物として描かれている。村人たちを苦しめ、洞窟や地下で発見されるというストーリーが多い。いくつかの物語では、それは羽を持ち、あるいは炎の息を吐く(→ドラゴン)とされる。特に性別を示すようなところはないが、普通は女性とされている。
[編集] 現代のラミア像
ロールプレイングゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では、多種多様なラミア像が描かれている。