ヤーダヴァ朝

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13世紀ごろの南インド。諸王朝のおおよその最大版図を示す。

ヤーダヴァ朝（-ちょう、Yadava）とは、12世紀末から14世紀初頭にインドの現マハーラーシュートラ州を中心に繁栄した王朝。先祖は、カリヤーニのチャールキヤ朝の封臣（諸侯）で、9～12世紀まではセーヴナプラを本拠としていたため、セーヴナ朝とも呼ばれる。

12世紀末、ヴィラーマ5世(位1185～93)は、カリヤーニのチャールキヤ朝が王位継承争いで衰退しているのに乗じて、デーヴァギリ（デーオギールともいう。）を建設して独立し、カリヤーニを一時占領したカラチュリ家を攻撃し、ソーメシュヴァラ4世によってこれが滅ぼされるとソーメシュヴァラを攻撃して、これをカリヤーニから追放するのに成功した。しかし、ソーメシュヴァラに止めをさしたホイサラ朝のバッラーラ2世に撃退され、チャールキヤ領の南側は確保できなかった。

シンガナ王（位1200～47）のときに全盛で、北方はナルマダー川、南方は、トゥンガバドラー川流域、東方はハイデラバード付近までとほぼデカン高原一帯を支配した。ヤーダヴァ朝の君主たちは学芸の保護者であったが、とくにシンガナ王の孫、マハーデーヴァ王（位1261～71）のときに、有力な大臣ヘーマードリーが、自ら経典の注釈を多数著し、また多くの寺院を造らせて、へーマドリー様式とまで呼ばれる荘重で外面に彫刻を施さないという特色をもつ建築様式がうまれたことで知られる。

[編集] ハルジー朝による属国化と滅亡

ところが、1294年、ハルジー朝のアワド州長官であったアラーウッディーン・ハルジーはヤーダヴァ朝の首都デーヴァギリを攻撃し、ハルジー朝への貢納を約束させ、多くの戦利品を持ち帰った。やがてヤーダヴァ王ラーマチャンドラ（位1271～1311）はしだいに貢納を怠るようになったので、1307年、すでにスルタンになっていたアラーウッディーンは、マリク・カーフールを遣わしてヤーダヴァ朝を討ち、ラーマチャンドラを捕虜としてデリーへ連行した。ラーマチャンドラは、臣従を約束すると、ハルジー朝では、ラーイ・ラーヤーンの称号を彼に与え、王の象徴でもある金色の天蓋と多額の下賜品を贈って帰国を許した。これは、ヤーダヴァ朝にとって壊滅的な打撃となり、ラーマチャンドラの娘の一人がアラーウッディーンにとつぐなど同盟者の形式はとったが事実上ハルジー朝支配下の属国となった。1311年、ラーマチャンドラが死ぬと王位継承争いが起こり、シャンカラデーヴァ（位1311）の短い治世ののち、一応、ハラヴァーラデーヴァ（位1311～17）が継ぐが1313年にマリク・カーフールによって王位継承争いが鎮圧されなければならないほどヤーダヴァ朝の力は衰えていた。ハルジー朝のアラーウッディーンがなくなると、子のムバーラク・シャーがデリーのスルタンを継ぎ、1317年、デーヴァギリを攻撃してヤーダヴァ朝を完全に滅ぼしてその領土を併合した。