モンロー宣言
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モンロー宣言(モンローせんげん、Monroe Doctrine)とは、アメリカ合衆国がヨーロッパ諸国に対して、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱したことを指す。第5代大統領ジェームズ・モンローが、議会への年次教書の中で示したものであり、実際に何らかの宣言があったわけではないので、モンロー教書と表記されることも多い。この教書で示された外交姿勢は今後のアメリカ外交の基本方針となったため、同国の孤立主義的な外交はモンロー主義とも称された。
[編集] 背景と狙い
19世紀前半、ラテンアメリカ各地で独立運動が起こった。当時のヨーロッパは自由主義、ナショナリズムを敵視する保守反動的なウィーン体制下にあったため、この体制を主導していたオーストリアの政治家メッテルニヒは、独立運動への干渉を図っていた。また、独立運動を支持する姿勢をみせていたイギリスも、その狙いはラテンアメリカを経済的従属下において自国の市場とすることであった。こうした動きを牽制するため、モンローが年次教書において、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸の相互不干渉を示すに至ったのである。
合衆国にとって、もう一つの大きな懸念材料は、アラスカ(当時はロシア領)からロシアが太平洋沿いに南下政策を図ることであった。そのため、この教書はロシアのアメリカ大陸進出に対する牽制という狙いも含んでいた。