ミノムシ
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オオミノガ | ||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||
Eumeta japonica | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
Bagworm |
ミノムシ(蓑虫)は、ミノガ科のガの幼虫。一般には、その中でもオオミノガの幼虫を指す。バラ科やカキノキ科などの果樹の葉を食害する。幼虫は摂食後の枯れ葉や枯れ枝に粘性の糸を絡め、袋状の巣を作って枝からぶら下がることで有名。わらで作った雨具「蓑」に形が似ている為に「ミノムシ」と呼ばれるようになったらしい。
目次 |
[編集] 生活環
オオミノガは、蓑の内部で終令幼虫(8令)のまま越冬するため、枯れ枝の間で蓑が目立つ。4月から6月にかけて蛹化し、6月から8月にかけて羽化する。ガの形になるのは雄に限られる。この時、雄は口が退化しており、花の蜜など吸う事が出来ない。ガの体長は30~40mm。雌は無翅、無脚であり、形は小さい頭に、小さな胸と体の大半以上が腹部という形になります。(また、雄同様口が退化します。)よってガにはならず、蓑内部に留まる。雄は雌のフェロモンに引かれて夕方頃飛行し、蓑内の雌と交尾する。この時、(雄は小さな腹部を限界近くまで伸ばし蛹の殻と雌の体の間に入れ、蓑の先端まで、腹部を入れる。)その後、雌は蓑内に1000個以上の卵を産卵する。しばらくすると雌は蓑から小さな小さな干からびた形で蓑から落ちて死んでしまいます。 20日前後で孵化した幼虫は蓑の端から糸を垂らし、風に乗って分散する。幼虫のまま、6月から10月にかけて7回脱皮を繰り返し、終令幼虫に達する。分布域は関東、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄。
[編集] ミノガ科
ミノガ科にはオオミノガのほか、チャミノガ (Eumeta minuscula) など20以上の種が属しているが、一般にミノムシとして認識されるのはオオミノガとチャミノガだけである。チャミノガの幼虫は15mm~25mmとオオミノガの1/2~1/3にすぎない。蓑も小ぶりである。
[編集] オオミノガヤドリバエ
1990年代後半から、オオミノガが激減し始めた。原因は、オオミノガにのみ寄生する外来種のオオミノガヤドリバエ (Nealsomyia rufella) である。蓑当りの寄生率は5割~9割に達する。寄生率は九州に近くなるほど高いため、中国大陸から侵入したと考えられている。
オオミノガヤドリバエは、主にオオミノガの終令幼虫を見つけると、摂食中の葉にのみ産卵する。このため、寄生率が上がる。口器で破壊されなかった卵はオオミノガの消化器に達し、体内に侵入する。1個体に付き、平均10羽程度のオオミノガヤドリバエが羽化する。既にオオミノガヤドリバエ自体に寄生する寄生蜂が見つかっている。
[編集] ミノムシと文化
ミノムシは身の回りの繊維であれば、葉や枝でなくても、蓑を作り上げる。このため、毛糸くずや細かく切った色紙の中に幼虫を入れると、色鮮やかな蓑を作り上げる。子供の遊びとして広く知られていた。
ミノムシは秋に蓑を作るため、俳句では秋の季語となった。ミノムシ自体は発声器官を持たないのだが、季語では「蓑虫鳴く」と扱われている。
[編集] ミノムシが登場する作品
[編集] 随筆
- 枕草子 - 「蓑虫、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれも恐しき心あらんとて、…八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴く、いみじうあわれなり」
[編集] 俳句
[編集] ゲーム
カテゴリ: 生物学関連のスタブ項目 | ガの幼虫