マルクス・ユニウス・ブルートゥス
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マルクス・ユニウス・ブルートゥス(Marcus Junius Brutus, 紀元前85年 - 紀元前42年)は、共和政ローマ末期の政治家。ガイウス・ユリウス・カエサル暗殺の首謀者の1人。
母はガイウス・ユリウス・カエサルの愛人セルウィリア。早くに父を失い、叔父小カトーの影響を受けて育つ。紀元前49年に始まる内乱では大ポンペイウス側につくが、パルサロスの戦いの後、赦免されてローマ政界に復帰、彼が暗殺の陰謀に加わったのは、ガイウス・ユリウス・カエサルが終身の独裁官(ディクタトル)となったからだといわれる。暗殺後は東方属州に退いてカエサル派に対抗したが、ピリッピの戦いに敗れ、自決。
なお、ウィリアム・シェイクスピアの作品『ジュリアス・シーザー』のカエサル暗殺時の名せりふ「ブルータス!お前もか!」のブルータスは彼のことである。出典であるスエトニウス『ローマ皇帝伝』(「カエサル」(Divus Iulius)、82)では「我が子よ、お前もか」となっている。
塩野七生はカエサルの叫んだ「ブルータス」はマルクス・ブルートゥスではなく、彼の従兄弟でカエサルの腹心であったデキムス・ユニウス・ブルートゥスを指しているとしている。
ダンテの「神曲」の中では、地獄の最下層:コキュートスで、サタンに噛み付かれている三悪人の一人とされている。裏切り者の代名詞として、ユダ同様に、扱われている。